指原莉乃、プロデュースの妙は“視点”に宿る 秋元康からの学びとアイドル経験に裏打ちされた手腕

指原莉乃、プロデュースの妙は“視点”に宿る

 3月29日にお披露目会がおこなわれたタレントの指原莉乃がプロデュースするアイドルグループ、≒JOY(ニアリーイコールジョイ/以下、ニアジョイ)の活動がいよいよ本格化。雑誌『BUBKA』の6月号で表紙をつとめたほか、dTVで密着ドキュメンタリー番組の配信もスタートした。

 指原が手がけるアイドルグループは、2017年に結成の=LOVE(イコールラブ/以下、イコラブ)、2019年に誕生した≠ME(ノットイコールミー/以下、ノイミー)に続いて3組目。イコラブは王道アイドル色が強く、ノイミーは変幻自在の魅力を放っているが、ニアジョイは果たしてどんなグループとなるのか。

HKT48時代の映画監督作で見せていたプロデュース能力

 ここであらためて注目したいのが、指原のプロデューサーとしての顔である。

 指原といえば、AKB48でキャリアをスタートさせ、HKT48への移籍から卒業までに『AKB48選抜総選挙』では2015年からの3連覇を含む計4度の戴冠。さらにグループ在籍時から「バラエティの女王」としても君臨し、現在まで人気タレントとして活躍している。一方、アイドルプロデューサーとしても、今のアイドルシーンに欠かせない存在にまでイコラブ、ノイミーを押し上げた。

 指原は雑誌『ar』(2022年2月号/主婦と生活社)のインタビューで、アイドルプロデューサーとして大事にしていることついて「いい人を育てること」と回答。相手への感謝や人に対する気持ちのあり方を重視し、注意されたときもその意味を本当に理解できているのかどうかなどを見ているという。また同誌では、自分の強みについて「客観視。自分の映り方を想像する力があると思います」とも話している。客観視できることで、他人が自分に何を求めているのか敏感に察知することができる。それが、彼女のテレビ番組などの立ち回りのうまさにつながっているのではないだろうか。そしてその能力は、アイドルプロデューサーとしての手腕にも結びついているようにも思える。

 イコラブを立ち上げる前、指原のプロデュース能力の高さを大いに感じさせる作品があった。初めて映画監督をつとめたドキュメンタリー『尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48』(2016年)である。指原は、映像編集室でタレント・武井壮の登場シーンを眺めながら「おもしろいけどな……」と悩んだ表情を浮かべていた。そこまでのHKT48のメンバーの奮闘と武井の場面のテンションが違いすぎて、作品の一貫性が損なわれる可能性が出たからだ。指原は「真剣にドキュメンタリーを観に来た人は『あれっ』となるかもしれない」としながら、「ただ、いろんな人に観てもらうためには武井さんのブロックがあった方が息抜きになるかもしれない。良いブリッジとして楽しんでもらえるんじゃないか。それに武井さんは芸能人のなかではHKT48のことが一番詳しいから」と、そのシーンを組み込む意図を説明した。

 このワンシーンで指原が指揮官として示したものは、観客の目に作品がどのように映り、どんな風に受け取られるかである。その考え方はまさにプロデューサーそのもの。指原は当時からその片鱗を見せていたのだ。

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