04 Limited Sazabys、バンドのマインドとリンクした『YON EXPO'21』 “Yon Express”として届けたかけがえのない時間

フォーリミ『YON EXPO'21』レポ

 2019年まではモッシュ&ダイブが最も繰り広げられていた「monolith」ではファンもその場で渾身のジャンプ、「escape」では会場後方まで熱気が伝導する火柱が噴出、交錯するムービングライトも相まり、ステージを見るというより、聴覚・視覚を全て動員して、ただただ怒涛の情報量を体感するのみ。

 その後、一旦メンバーが捌け、2065年という設定でHIROKAZ(Gt)が昔語りをするという展開。そこから44年前の現在にタイプスリップするという構成は新曲「fade」につなぐ意図だったのだろうか。珍しくマイナーチューンかつ、ヘヴィなリフと大きなメロディを持つ「fade」。ドラマチックな曲展開にシンクロするように、レーザーも火柱もムービングライトも過剰なぐらいに盛り込まれていた。ソリッドでヘヴィなナンバーで圧倒した後はサブステージに移動してのアコースティックセット。RYU-TA(Gt)がベースに持ち替え、HIROKAZがアコギを持ち、GENはボーカルに専念しての「Buster call」。この曲はイベントで初めて幕張メッセに立った時の1曲目だったそうで、オリジナルとは全く違うBPMとアレンジでしっかり歌を届けた。

 後半はメロディに優しさやポップネスがあふれるレパートリーを集めた印象。「midnight cruising」「Cycle」「Letter」と切なさと明るさが同居する曲が続けて演奏されたあと、GENがコロナ禍以降の状況に、やはりライブバンドとしては相当食らったという精神状態、だからこそいま、オーディエンスの顔を見て演奏していることや裏方スタッフへの感謝を丁寧に言葉にしていた。「一緒に仕事できる、こんなにいいことはない」と。本編ラストをもう一度、雨でぐしゃぐしゃになった地図を広げると歌う「Squall」だったのはまさにいまここからの決意だろう。その時々で音楽が新しい意味を連れてくるのだ。

 アンコールではまだ日程しか決まっていないが、2022年には『YON FES』の開催が決定したことを発表。宅配されたダンボールから取り出した靴のインソールに書かれた文章を読むという謎の展開。フォーリミの「楽しい」はあらゆる角度に開かれているのだった。

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