モーニング娘。’19の魅力は「優しさ」にあるーー“幸福を生む場所”で迎えたツアーファイナルを見て

モーニング娘。’19、代々木第一体育館レポ

 そしてコンサート後半戦最大の見所は、何と言っても新曲「LOVEペディア」と「人間関係NO way way」の初披露だ。この二曲、メロディは全く同じで歌詞と振り付けが違うという斬新な試み。確かに同じメロディなのに全く違った曲に聞こえるのは、彼女たちの表現力のなせる技だろう。また、「LOVEペディア」は平田祥一郎、「人間関係No way way」は鈴木俊介と、それぞれハロプロ楽曲に深く携わってきたアレンジャーが編曲を担当。よく耳をすませて、違いを楽しむのも一興だ。

 その他にも、「HOW DO YOU LIKE JAPAN?~日本はどんな感じでっか?~」「ブレインストーミング」「女が目立って なぜイケナイ」「Tokyoという片隅」「直感2~逃した魚は大きいぞ!~」「ドッカ~ン カプリッチオ」の6曲をノンストップで歌い上げるメドレーコーナーや、「One・Two・Three(updated)」「I surrender 愛されど愛」「What is LOVE?」といったライブで定番曲もしっかり歌い、本編は終了。

 アンコールでは今ツアーで初披露された新曲「Hey! Unfair Baby」や「青春Night」「ブラボー!」といった明るい楽曲を披露して、最後まできっちりと会場を盛り上げた。

 最後の挨拶で、佐藤は「モーニング娘。はいろんな会場でライブをしていて、それぞれに得るものがある。ライブハウスはお客さんと驚くほど距離が近い場所。日本武道館はメンバーの卒業や加入が発表される“涙”のイメージが強い場所。そして代々木は初めて立ったけれど、“幸福を生む場所”だと感じた(要約)」と、彼女らしい感受性豊かなコメント。また、岡村は「モーニング娘。になれて幸せです」と涙を流しながらコメントし、会場は温かい雰囲気に包まれた。

 メンバーの卒業と加入を繰り返すモーニング娘。は、その時々でグループの雰囲気も変わる。例えば、歌とダンスに定評があった高橋愛がリーダーをつとめていた2007年〜2011年頃のモーニング娘。は、グループ全体が高橋に引き上げられてクールでカッコいいパフォーマンスをするようになった。また、若いうちからグループのために個人でバラエティ番組に出演し、モーニング娘。をお茶の間に届け続けていた道重さゆみがリーダーに就任した時は、他のメンバーも道重に引っ張られるように、個性を出していった。

 そして現在、譜久村がリーダーとなって作り上げるモーニング娘。’19の魅力は、一言で言うと「優しさ」だと感じた。ダンサブルな楽曲を、次々と複雑なフォーメーションでパフォーマンスできるのは、お互いがお互いを信頼し、助け合っているからこそであろう。そんな14人で、次はどんな景色を見せてくれるのか。モーニング娘。’20の活躍にも、大いに期待したい。

※記事掲載時、一部表記に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。

■みずさき
ライター。アイドルを中心にエンタメ系記事の執筆を行う。
また、アラサー女性4人組サークル「劇団雌猫」として執筆、イベント業も行なっている。
新刊『本業はオタクです。 シュミも楽しむあの人の仕事術』が7月22日ごろ発売。
Twitter:@samizusaki

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