TWICE、IZ*ONE……ガールズグループが設ける“ラップパート”に注目 キュートさも表現できる手法に
昨今の韓国ガールズグループの楽曲ではラップパートが増加している。グループ活動をしながらも自らリリックを制作するいわばアイドル兼ラッパーだけでなく、アイドルとしてグループのパフォーマンスの一環でラップを披露するメンバーの存在感が強くなってきたようだ。
韓国では、これまでもクールコンセプトのグループでラップは多く用いられてはいたが、TWICEやIZ*ONEのようなフェミニンなイメージのガールズグループでもラップ担当のメンバーを設け、サブボーカルと兼任という形で活動している。大人数グループであると、そのポジションに該当するメンバーを2〜3人選出し、ラップの歌割りを割り振っているようだ。しかし、グループ毎にラップを入れることの目的は異なるように感じる。
TWICEは、ラップをアクセントのように用いている。例えば、「LIKEY」ではリードラッパーのダヒョンが披露するラップ〈Oh 잠깐만 잠깐만 연락이 이제야 오늘걸 Woo〉は、ファンと共に掛け声をする楽曲の注目ポイントの一つである。「Heart shaker」のサビ前にラップを披露するパートは、音楽番組では必ずと言っていいほどカメラに抜かれており、楽曲の構造的にもサビへ向けての盛り上がりが新鮮だ。また、同楽曲の2番ではボーカルと被ってラップが登場することで、楽曲全体の充足感に寄与している。TWICEはラップの登場パートが楽曲によって異なるため、バラエティに富んでいる。ラップパートでの振り付けもダヒョンとチェヨンが目立つような演出であるのが特徴的だ。一部の楽曲では可愛らしい雰囲気のままラップパートに突入することも多々あり、ラップ=クールというイメージを覆すかのようだ。まるで愛嬌を振りまいて話しているかのように聞こえるそのラップは、ガールズグループの新しいパフォーマンスの形を生んだ。
IZ*ONEは、ラップがボーカルと同様の扱いであるという印象が強く、ラップをしながらも他のメンバーと同じ振り付けをすることがほとんどである。今までの韓国での活動曲である「La Vie en Rose」と「Violeta」では2番Aメロでラップが自然な流れで登場する。特に「Violeta」のラップは低音域であり、その落ち着きのあるメロディはしなやかな女性像を体現しているように感じる。ラップが全体的に溶け込んでいるのは、やはりIZ*ONEが『PRODUCE 48』出身であることに起因するだろう。『PRODUCE』シリーズでのポジション評価は、初期シーズンからボーカル・ラップ・ダンスと三つの部門に分かれており、ラップ部門では自分でリリックを制作するスキルが求められる。これまでも出演者が番組で初めてラップに挑戦するケースが数多く放送されてきた。志望者の中でラップ担当を希望する元々の割合は少ないものの、オーディション番組を通してラップがパフォーマンスにおいて付属的なものではなく、一つの要として存在すべきであることを示した。ラップとガーリーなダンスとを組み合わせるパフォーマンスは今後メジャーになっていくかもしれない。