岐阜がアニメの“聖地”に? 『変人のサラダボウル』『君の名は。』『聲の形』などから紐解く

なぜ岐阜に“アニメ聖地”が集中?

 飛騨高山や白川郷など数多くの観光スポットが存在し、国内外からも多くの人々が訪れる岐阜県はアニメの聖地としても名高い。現在放送中のTVアニメ『変人のサラダボウル』もその1つだ。本作はOPからJR岐阜駅、岐阜市役所など実際に存在する場所が実写で登場しているのも特筆すべき点だ。今回はそんな“岐阜”を舞台としたアニメ作品を5つ紹介する。

『変人のサラダボウル』

 文頭でも触れたアニメ『変人のサラダボウル』は、主人公の鏑矢惣助が岐阜県岐阜市在住ということもあり、岐阜の名所や名産品が余すことなく描写されている。

『変人のサラダボウル』©平坂読/小学館/「変人のサラダボウル」製作委員会

 第1話では岐阜市のシンボルでもある岐阜城が登場。加えて、惣助がサラに飛騨牛を振る舞う様子が観られた。本作はOPの他に原作表紙にも実写背景を使用しており、キャラクターたちが実際に存在するかのような演出もファンの心を掴んでいるように思う。

『変人のサラダボウル』©平坂読/小学館/「変人のサラダボウル」製作委員会

 また岐阜県とのコラボイベントも積極的に行われており、現在はJR東海「推し旅」(※1)や「岐阜バス」ラッピング車両の運行(※2)などが実施されている。異世界からやってきた皇女・サラや女騎士・リヴィアなど個性豊かなキャラが織りなすストーリーは全体的にコミカルだが、作中にはいじめ、カルト宗教、転売……など現代の社会問題を取り入れた話もあり、ただ笑えるだけの作品ではないことを痛感させられた。

『変人のサラダボウル』©平坂読/小学館/「変人のサラダボウル」製作委員会

『映画 聲の形』

 先天性の聴覚障害をもつ少女・西宮硝子と、かつて彼女をいじめていた少年・石田将也を中心に、周囲の人間関係を描いた『映画 聲の形』。

映画『聲の形』に込められた“語りたくなる何か”を考える “卒業”が意味するもの

人生で最も難しいのは、コミュニケーションだ。相手の気持ちを慮るからこそ、時にすれ違い、必要のない誤解を生む。そんな日々が重なれば…

 石田と同じ高校の生徒や教師の顔に×(バツ)印が描写されていた場面や、クラスメイトである永束の優しさに触れ、永束の顔から×(バツ)印が剥がれるシーンでは周囲から孤立していた石田の心情が丁寧に表現されていた。

 本作で舞台となった「水門市」は架空の地名だが、こちらは原作者・大今良時の出身地でもある岐阜県大垣市がモデルとなっており、作中ではJR大垣駅や大垣市総合福祉会館などのスポットが登場する。また大垣市だけでなく、岐阜県内にも多数モデルとなった場所があり、聖地巡礼も捗りそうだ。

『のうりん』

 農業高校を舞台にした『のうりん』で主人公・畑耕作たちが通う県立田茂農林高等学校は、岐阜県美濃加茂市に実在する学校をモデルとしており、作中では校内の各所が見事に再現されている。

 第2話ではクラスメイトでもある良田胡蝶が耕作たちに岐阜で飼育されている鶏・奥美濃古地鶏の肉を差し入れる場面も見られた。また本作はパロディが多いことでも話題に。『DEATH NOTE』や『ジョジョの奇妙な冒険』、ムンクの「叫び」など誰もが知るネタを多く取り入れており、見応え抜群である。ストーリーだけでなく、アニメで描写された聖地やパロディに目を向けることで見方が変化し、作品の良さを多方面から感じられるだろう。

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