『ブギウギ』CPに聞く“朝ドラで戦争を描く意義” 主題歌「ハッピー☆ブギ」に込めた思いも

『ブギウギ』CPに聞く朝ドラで戦争描く意義

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

 第10週で描かれたのは、スズ子の大切な弟・六郎(黒崎煌代)の死。制作統括の福岡利武は「六郎への思いをどう描くのかが一番の肝でした」とし、「お父ちゃん(梅吉/柳葉敏郎)は六郎が大好きなので悲しくはなりますが、そこもカラッと描くのが『ブギウギ』らしさ。梅吉とスズ子が六郎の死をどう受け止めて、どういう気持ちになっていくのかについては、何度も話し合いました」と打ち明ける。

 ここで、大きな役割を担ったのが2頭の亀。戦地から届いた六郎の手紙に書かれていたのは、亀のことばかり。さらには幼い頃から亀と暮らしてきた六郎を知っているからこそ、残された亀に六郎を思い、我々視聴者も切なくなった。

 福岡は「亀を見て、スズ子たちが六郎に思いを馳せる。六郎が戦争で亡くなることはわかっていましたので、のちにそういったシーンが大事になっていくという思いはありました」と意図を明かす。一方で、六郎との別れがここまで視聴者に響いた理由は、演じた黒崎煌代の力によるものだと明言する。

「やっぱり黒崎さん自身の持つ素直さがあって、さらにまっすぐなお芝居をしてもらえたので、台本以上に、本当に素直に六郎の死がグッと来るドラマに仕上がりました。スズ子が歌うステージの客席に現れたシーンでも、とても良い顔をしていましたし、よりスズ子の歌声が胸に刺さる、すごくいい場面になったと思っています」

 そんな六郎の死によって気付かされる、戦争の恐ろしさ、残酷さ――。あらためて「朝ドラで戦争を描くことの意義」について尋ねると、福岡は「昭和の朝ドラをやると避けては通れませんが、難しいテーマだといつも思っています。とくに今回は、『歌で人の気持ちをハッピーになることの大切さを描きたい』という企画だからこそ、歌っている場合じゃない、歌えないのがつらい、という時代をどう描けばいいのか、と。さらには今、観ている人にもちゃんと響くような内容にしなければいけないので、簡単なことではないんです」と吐露する。

「僕は祖父が18歳で終戦を迎えていて、戦争中の話をよく聞いていました。ですから、体験談を聞く中で感じた思いを少しでも入れられたらいいなと思っています。“生きていくこと”が社会全体の大きなテーマになっていた時代だと思うので、今だからこそ、そういったテーマが伝わればいいなと。説教くさいことは言いたくないのですが、“明日どうなるかわからないけれど、今日を必死に生きる”というところを描いて、視聴者のみなさんに少しでも何かを感じてもらえればありがたいなと思っています」

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