『ブギウギ』水川あさみオールアップの裏側をCPが語る 「拍手が鳴り止みませんでした」
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。
あまりにも早い母・ツヤ(水川あさみ)との“別れ”が描かれた第8週。制作統括の福岡利武は、そんな同週について「あらためて家族の物語をしっかりと描ければ、と思って作りました」と語る。
「笠置さんの育てのお母さんも若くして亡くなっていらっしゃることもありますが、前半に“母と娘の物語”を濃く描いて、独り立ちしていくスズ子を見せていければ、と。脚本の足立(紳)さんには出会いと別れをしっかりと描きたいという思いがありますし、スズ子は舞台人として、『親の死に目に会うために、すぐに地元へ帰るのか』という問いかけにもなっています」
第38話では、自分はもう助からないと悟ったツヤが、自身の亡き後にもスズ子をキヌ(中越典子)に会わせないでほしいと梅吉(柳葉敏郎)に懇願する。そうして「性格悪いやろ?」とほほえむ姿が、なんともツヤらしかった。
福岡は「明るくて一生懸命働くツヤさんですが、スズ子との関係においては“実の母と娘なんだ”と立証したい。そんな業の深さを描きたいという足立さんの思いに、ツヤさんのユーモアが重なった場面」だと説明し、「観ているほうもスッキリとは受け取れない、複雑な感情になるところがいいのかなと思いました」と続ける。
「スズ子の話になると、そういう気持ちが自分の中から出てきてしまう。ツヤさん自身もすごく悩んでいて、それを定義できないまま、というのが面白くもあり、梅吉さんとのやり取りによって物語がさらに深まれば、という思いが足立さんの中にはあったと思います。すごく難しいお芝居になりますが、そこは足立さんと水川さんが信頼し合ったところではないでしょうか」
第39話では、亡くなる直前のツヤが急に元気になるという、「夢設定なのか?」と思うような展開も印象的だった。
「“死ぬぞ死ぬぞ”でそのまま亡くなっていくよりも、ツヤさんらしさを出すために、と足立さんが時間をかけて考え抜かれたアイデアです。桃のエピソードも組み込みながら、やっぱり最期は明るく、みなさんで看取りたいという思いが強かったのだと思います。梅吉とスズ子が漫才のようなやり取りになっていくところも、台本を読んで難しいお芝居だなと思っていましたが、柳葉さん、趣里さんの熱演あって『ブギウギ』らしい家族の話になったのではないかと思っています」
あらためて福岡は、水川の人柄を「本当にズキズキワクワクする、これぞブギウギという方」と表現し、「明るくて、笑顔が素敵で、セリフに説得力もある。ユーモアもあって、本当に素晴らしいなと思います」と魅力を語る。
水川のオールアップは、まさにツヤが天国へと旅立つ場面。現場には出演シーンのないはな湯の常連キャストたちも全員集まったそうで、福岡は「来たはいいけど、はな湯のメンバーはギャーギャー喋るのでうるさいんです(笑)。そんなみなさんが本当に水川さんを信頼していて、『オールアップです』となった後の拍手は鳴り止みませんでした」と明かした。