『ブギウギ』中山役も大反響! 小栗基裕が語る、役者として、s**t kingzとしての現在地
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第6週から第7週にかけて、視聴者の心を揺さぶったキャラクターがいた。主人公・スズ子(趣里)の後輩・秋山(伊原六花)の相手役となるダンサー・中山史郎だ。演じたのは、世界的ダンスパフォーマンスグループs**t kingzのメンバー・Oguriあらため小栗基裕だ。
2021年に公開された映画『孤狼の血 LEVEL2』で映像作品でのデビューを飾って以来、俳優としても確実に存在感を高めている。国民的コンテンツである朝ドラにはどんな気持ちで臨んだのか。s**t kingzとして、俳優として、今後の展望をじっくりと聞いた。(編集部)【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
大反響となった朝ドラ『ブギウギ』中山史郎役
――映像作品で初めて演技をされたのは映画『孤狼の血 LEVEL2』だったそうですね。
小栗基裕(以下、小栗):オーディションを受けて出演することになったんですけど、ドキドキしすぎてあまり記憶にないくらいなんです。オーディションはコロナ禍の時期で、審査側と僕らの間にアクリル板があったのは覚えています。それまでは、映像作品のオーディションを受けたこともなかったですし、コロナ禍の時期で表現することに飢えていた時期でもあったので、「全力でぶつかって当たって砕けろ!」という気持ちで思いっきりやりました。お芝居のレッスンに通っていたスタジオのトレーナーの方たちと事前に練習もしました。『孤狼の血』は、ヤクザの映画なので、その雰囲気に合わせた柄シャツを着て、髭もはやして挑みました。
――『ブギウギ』には、どのような経緯で出演することになったんですか?
小栗:去年、s**t kingzで『HELLO ROOMIES!!!』という舞台をやったんですが、フレッド・アステアみたいにシルクハットを被ってステッキを持ってタップダンスをしたんです。まさに今回『ブギウギ』で演じた中山史郎のようで。それをNHKの方が観てくださって声をかけてくれたんじゃないかなと思っています。
――小栗さんが演じられたトップダンサーの中山史郎は、第6週では、あまりしゃべらなくて雰囲気で見せるタイプの役でした。役作りで苦労したことは?
小栗:踊っていないときはすごく寡黙で、威圧的な感じがあって、人とも距離があるんだけど、踊っているときは表情豊かで饒舌で人との距離も近くなる。そのギャップを意識して演じました。
――『ブギウギ』に出演するにあたって、事前に調べたり、何かを参考にしたりしましたか?
小栗:参考にした人の伝記本を読んでイメージしたり、当時の日本やアメリカの様子を調べたり。九段下にある昭和の時代の展示をしている「昭和館」で、当時のニュースの映像などを観ながら時代の空気を摑んでいきました。
――ステージでダンスをするシーンが圧巻でしたが、準備期間はどのくらいあったのでしょうか?
小栗:1カ月くらいの期間、大阪でリハーサルを何回か重ねて準備しました。振り付けは木下菜津子さんが担当しているんですが、菜津子さんとは古くからの知り合いなんです。一緒に朝ドラで仕事ができたことは本当にうれしかったですね。菜津子さんと話し合いながら、自分のパートについては自分で振り付けもしました。
――菜津子さんとの出会いはどのようなものだったんですか?
小栗:菜津子さんが教えていたダンススタジオに、僕が二十歳くらいから通い始めて、そのスタジオで自分も教えていたこともあったんです。その後も、同じ舞台に立ったり、作品を作るときに一緒になったり。ただ、一緒に仕事をしたことはなかったので、めちゃくちゃテンションが上がったし、楽しかったです。
――同じs**t kingzのshoji(持田将史)さんは、NHK連続テレビ小説『エール』にも出演されていますが、『ブギウギ』出演前には何かアドバイスなども?
小栗:shojiからは、撮影のテンポが早かったと聞いていました。もしかしたら、東京の制作と大阪の制作ということでも違いはあるのかもしれないんですけど(『エール』は東京、『ブギウギ』は大阪)、それを聞いた上で、スムーズにどんどん撮っていく感じで楽しく撮影に臨めました。
――ステージで一緒に踊った秋山美月役の伊原六花さんとの共演はいかがでしたか?
小栗:六花ちゃんと一緒に仕事をするのは、実はもう4回目くらいなんです。六花ちゃんが出演するCMの振り付けをやったのが最初で、その後はコロナ禍で公演はできなかったのですが、『ウエスト・サイド・ストーリー Season3』の稽古でも一緒だったし、去年は『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)のスピンオフドラマの『日本一の夕暮れを、大切な人と観に行くドライブって、エモくない?』(Sponsored by 日産自動車)でも一緒だったので、すごく安心感がありました。そのスピンオフドラマの撮影中に、六花ちゃんが、「今、タップを練習してるんです」って言っていたので、それが『ブギウギ』のことだったと後で気付きました。
――小栗さんが出ているパートは、ヒロインのスズ子や秋山が、ショービジネスの世界でチャンスを掴んだり、挫折をする様子が描かれていました。小栗さんも、彼女たちに自身の経験を重ねることはありましたか?
小栗:すごくありました。ダンスをしていて舞台に立つたびにドキドキしますし、今までいたところから飛び出して新しいチャレンジをするとき、ミュージカルやドラマなどに一人で飛び込むときもドキドキします。それと、スズ子が、とことん迷って糸口を見つけて舞台で覚醒するというシーンがありますよね。これって本当にあることなんですよ。舞台に立った瞬間に、稽古では出なかったパワーやエネルギーがステージに立った瞬間に出ることって。だから、スズ子のステージのシーンは感動しました。