『VIVANT』制作陣の“戦う姿勢”に興奮 豪華キャストの中でも富栄ドラムが一番人気に?

『VIVANT』制作陣の“戦う姿勢”に興奮

 話はよくわからなかったが、とにかく映像が派手で豪快なドラマになりそうである。『VIVANT』(TBS系)の第1話を観て、まず第一にそう思った。

 日曜劇場で放送されている本作は、『半沢直樹』(TBS系)を筆頭とする日曜劇場のヒット作を制作してきた福澤克雄が原作・演出を手がけるオリジナルドラマで、出演俳優が堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、役所広司、松坂桃李といった主演級の俳優が一堂に会することが放送前から話題になっていた。

 しかし、肝心のストーリーに関しては放送直前まで伏せられていた。タイトルの「VIVANT」(ヴィヴァン)はフランス語で「生きている」という意味らしいが、あまり馴染みのない言葉だったため、タイトルからどういうドラマになるのかを想像することは難しかった。

 そのため、期待半分、不安半分で本放送を待ち構えていたのだが、日本のテレビドラマとしては破格のスケール感に、ただただ圧倒された。

 物語は丸菱商事のエネルギー開発事業部に勤める乃木憂助(堺雅人)が、中央アジアにあるバルカ共和国で太陽エネルギープラント建設に関わる取引先のGFL社に契約金の10倍の額となる1億ドルが誤送金されたことを知る場面から始まる。

 差額の9千万ドルを回収するために乃木はバルカ共和国に向かう。GFL社の社長からは契約金を返すことはできないと断られてしまうが、乃木は1億ドルがダイヤモンドに変えられて運び出されたことを突き止め、回収しようと動き出す。

 このあたりの導入部は、乃木を演じている堺雅人が主演を務めた『半沢直樹』の序盤をなぞっているようでもあり、これまで日曜劇場で放送された池井戸潤原作の企業ドラマのエッセンスをワールドワイドなものに拡大した展開に思える。

 また、日本人のサラリーマンが海外で翻弄され、次々とトラブルに巻き込まれていく展開を観て、一色伸幸が脚本を手掛け、滝田洋二郎が監督した1993年の映画『僕らはみんな生きている』を思い出した。

 しかし、普通の日本人と言うには、乃木には謎が多い。常にオドオドしている気弱な商社マンに見える乃木だが、彼が一人で落ち込んでいると、彼を叱咤激励するもう一人の乃木が現れる。おそらく彼は乃木にしか見えない幻覚で、もう一つの人格のような存在ではないかと思われるのだが、そのあたりの詳しい説明は第1話ではまだ語られていない。

 また、乃木はCIAにいる親友のサム(マーティン・スター)にハッキングしてもらい、契約金がダイヤモンドにロンダリングされて、テロリストのアル=ザイールの元に送られたことを知り、ザイールの潜伏すアマン建設へと向かうのだが、CIAの友人がいる時点で、普通の人間とは思えない。しかし、乃木は自分のことを平凡な日本人だと思っているようで、このあたりの認識のズレは視聴者を混乱させる。

 その後、乃木はタクシー運転手に所持品を奪われてしまい、自分の足で灼熱の砂漠を超えることとなる。そしてなんとかザイールの元へと辿り着き、地元の警察を引き連れ、ダイヤを持っている証拠を突きつけるのだが、ザイールは「お前がVIVANTか?」と問いかけた後、体にくくりつけた爆弾で自爆して、乃木を殺そうとする。

 警視庁公安部の捜査官・野崎守(阿部寛)に爆発から助けられた乃木は、その後、病院で治療を受けるのだが、爆破事件の容疑者としてバルカ警察から追われる身となり、野崎とWHI(世界医療機構)の医師・柚木薫(二階堂ふみ)、そして野木の協力者・ドラム(富栄ドラム)と共に、激しい逃走劇を展開する。

 この逃走劇はアクションに継ぐアクションという感じで息付く暇がなく、劇中でCIAの友人・サムが観ていたアニメ『ルパン三世』を彷彿とさせる見応えのある映像となっていた。

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