石田ゆり子、仕事をする上でのポリシーとモチベーション 「できるだけ固めずに、柔軟に」
2021年7月期に放送され好評を博したTBS日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』が、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』として帰ってきた。“1人も死者を出さない”という使命のもと、自らの危険を顧みず患者のために戦う医療チーム「TOKYO MER」が今回挑むのは、横浜・ランドマークタワーで発生した爆発事故。鈴木亮平演じるチーフドクター喜多見幸太を中心とする「TOKYO MER」の創設者であり、危機管理対策室から彼らに指示を下す東京都知事・赤塚梓を演じているのが石田ゆり子だ。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や『妻、小学生になる。』(TBS系)、映画『マチネの終わりに』など数多くの作品で重要な役割を担っている石田に、『TOKYO MER』の舞台裏や、役者として大事にしていることについて話を聞いた。
「『TOKYO MER』で成長した人は多い」
ーー『TOKYO MER~走る緊急救命室~』は連続ドラマの放送時から大きな反響がありました。
石田ゆり子(以下、石田):私自身も放送当時から人気ぶりを感じていました。老若男女問わずたくさんの方に気に入ってもらえるドラマはなかなかないので、映画化もされるだろうなと思っていました。
ーー東京都知事である赤塚梓を演じるにあたって意識したことはありますか?
石田:役でしかできない立場ですよね(笑)。赤塚さんはMERを作った人なので、ある種の威厳を保つために立ち居振る舞いや話し方を意識して演じています。
ーーMERのメンバーと同じシーンはほとんどないですよね。
石田:そうなんです。今回の劇場版でも同じシーンが全然なくて。(鈴木)亮平さんとは時々ありましたけど、他のメンバーとの共演シーンは基本的にないので、撮影現場でお会いすることもほぼなくて。要(潤)さんとかはもちろん、(中条)あやみちゃんとも現場で会ったことがないんです。イベントや取材でようやく会えるというような感じで……。
ーー演じるときは、MERチームの動きなどを実際に見ることができないわけですよね?
石田:実際は映像が何もないので、台本から想像するしかないですね。『TOKYO MER』は現場と司令室が並行して描かれるという特殊なドラマなのでしょうがないんですけど、お芝居はやっぱり難しいです。危機管理対策室というワンシチュエーションで朝から晩まで同じシーンを撮り続けるわけですから。現場のテンションがわからない分、こっちも想像して演じるわけですが、想像してもしきれないようなシチュエーションだったりもするので(笑)。でもそこが『TOKYO MER』の面白いところでもあるんですよね。
ーー今回の劇場版は実際に完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
石田:すごい映画だなと思いました。難関がこんなに次から次に来るものかと。それが『TOKYO MER』の世界なんですが、自分が思っているよりもすごいことになっているなという印象を受けました。あと、TOKYO MERのメンバーは本当に仲良しなんですけど、私は別の作品を撮っているくらい遠いところにいるので、そこに入っていけないという……。正直、すごく羨ましくもあります。
ーー赤塚はチームのように“動き”で見せるシーンがない分、セリフが重要になってくるかと思います。
石田:MERの特徴として全員に言えることなのですが、セリフがほとんど情報や知識なんですよね。ほとんどが現状を伝える言葉だったり病状の説明だったりするので、感情のセリフがほとんどない。その分、覚えるのが本当に大変なんです。
ーー確かに。専門用語も多いですよね。
石田:本当に専門用語の嵐です。だから役者はみんな鍛えられますし、スキルを学ばざるを得なくなるという。自分を含め、『TOKYO MER』で成長した人は多いと思います。