内野聖陽×大森寿美男が語る、表現者としての“矜持” 『ゴールドサンセット』への思いを語る

内野聖陽×大森監督が語る表現者としての矜持

 白尾悠による小説「ゴールドサンセット」を内野聖陽主演、大森寿美男監督・脚本というタッグで実写化した『連続ドラマW ゴールドサンセット』。過去、内野と大森は、俳優・脚本家として『黒い家』やNHK大河ドラマ『風林火山』、特集ドラマ『どこにもない国』という3作品で作品を共にした。

 そんな2人が本作では主演俳優、監督という初めての関係性で作品に挑んだ。大森監督が「真っ先に内野さんの顔が浮かんだ」と熱望し、内野が「非常に難しい」と悩んだ末、チャレンジした『連続ドラマW ゴールドサンセット』。作品に対する思いや、表現者としての矜持など、今の2人だからできる熱いトークを繰り広げてもらった。【インタビューの最後には、内野聖陽のサイン入りチェキプレゼント企画あり】

大森寿美男「真っ先に浮かんだのが内野さんでした」

――白尾さんの原作はオムニバス形式として物語が展開しますが、連続ドラマの脚本にする際、どんなことを意識されましたか?

大森寿美男(以下、大森):おっしゃる通り原作は完全にオムニバス形式なので、それを連続ドラマとして成立させるために、阿久津と琴音を主軸に、阿久津が琴音に何を残せるのかという展開にするのが一番だろうなという思いはありました。あとは演劇をモチーフにしたドラマなので、歌謡ドラマの演劇版のようなイメージで、身近なものに感じてもらえるように心がけました。

――内野さんは台本や原作を読んでどんな印象を持ちましたか?

内野聖陽(以下、内野):原作を最初に読んだときは、正直ちょっととっつきづらいのかな……という感じがあったのですが、2度目読んだとき「なんて素晴らしいんだ」と感動した覚えがありました。原作はオムニバスだったのですが、ドラマの脚本では阿久津が主軸だったので「こういう切り口なんだな」と。

内野聖陽

――演じる阿久津というキャラクターについてはどう感じましたか?

内野:後半はリア王を演じながら自分の過去を清算していくお話だったので、「大変なことになったな」という印象でしたね(笑)。(撮影)当時僕は54歳だったのですが、原作を読んだ印象では、阿久津はかなり枯れた感じだったので、自分にできるのか……と躊躇した記憶もあります。ただその点に関しては、監督が「実際に老いているというより、心が老いてしまった人間でいきたい」とおっしゃっていたので、挑戦してみようかなと思ったんです。

――阿久津のファーストシーンはかなりインパクトあるビジュアルでした。

内野:自分は年齢よりも若く見られがちなので、髪の毛や肌感などはメイクさんや監督さんと喧々諤々やりました。僕のなかではもっと髪の毛の量も少なくしたかったのですが、監督が「嫌だ!」って(笑)。それでああいうロン毛になったんです。

――脚本を書かれるときはすでに阿久津は内野さんというイメージだったのでしょうか?

大森:まず、リア王を演じるという部分で説得力がある人じゃないとダメだろうという思いがありました。「リア王ごっこ」になってしまうと終わりですからね。小説だと、阿久津という人物は20代から80歳近いところまで描かれている。映像ではそこまで老いた設定ではないですが、どちらにしても長い年月を一人の俳優で表現しなければならない。誰ができるのだろう……と考えたとき、真っ先に浮かんだのが内野さんでした。内野さんなら一つの精神を繋げて若いころも年をとってからも演じられるだろうし、演劇のシーンも大変なことを含めて熟知している。ほかには想像できませんでした。

大森寿美男

――大森監督の期待をどう受け止めていたのでしょうか?

内野:阿久津の過去の贖罪とリア王がどのようにリンクしていくのか……すごく難しい本だなと思ったので、僕のなかでは正直どんなリア王になるのか……というのは想像するのが難しかった。演じながらも常に「とにかく間違っていたら言ってください」と思いながら演じていました。でも監督からは「オッケーです!」と言われることが多かったので「本当ですか? 大丈夫ですか?」みたいなことばっかり言っていましたね(笑)。

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