北村有起哉だから成立した『おむすび』の父 制作統括の想像を超えた聖人の愛されキャラ

NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公·米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。
第20週では、北村有起哉演じる結の父・聖人に胃がんが発覚。大病への不安や家族への思い、そして人生への自問自答など、北村の演技が光る一週となった。
制作統括の真鍋斎は、北村の起用理由を「リアリズム」だと語り、「家族キャスト全体を思い浮かべたときに、父親役としてすごくイメージできたんです。かなり早い段階で、東京までお願いに行ったのを思い出します」と懐かしむ。

同じく制作統括の宇佐川隆史は「聖人役はこの物語の主軸のひとつである阪神淡路大震災にまつわるシーンを中心に、自分のあり方に苦悩する芝居がキーポイントになってくるだろうと。加えて“お茶目さ”のあるお父さん役もできる方と考えたときに、実力者である北村さんのお力をお借りしたいと思いました」と述べ、「北村さんは、我々スタッフや共演者などとの雰囲気作りが、すごく素敵なんです」と熱を込める。
「橋本さんは力強く、笑いとともにみんなを引っ張っていく、まさに座長タイプで、一方で北村さんは、こんなことを言うのは失礼に当たるかもしれませんが、とてもお茶目に、かわいらしく人と接する方なんです」と続け、芝居からもその人間性が伝わってくると語る。
「人間というものがちゃんと見えている方だなというのは、芝居への提案からもわかります。人間味があるお芝居をご自身の中でどんどん高めたり、加えていったりされるんですよね。そのおかげで、我々の想像をはるかに超えて聖人像がふくよかになった。聖人が愛されるキャラクターになった。北村さんは脚本から想起していくタイプの方なので、そのアイディアに非常に助けられました」(宇佐川)
第98話では、結、歩(仲里依紗)、聖人が「お父さんの(娘たちの)気持ちがわかった」と互いの思いを分かち合う。宇佐川は「個人的に大泣きしました」と打ち明け、「家族として20週を重ねてきたからこその空気感、テンポ感を演出の松木(健祐)がしっかりと撮り切った素敵な名シーンだと思います。エキセントリックなことをするわけではない、何気ないシーンでも、北村さんにしかできないお芝居をしてくれる。それを受ける橋本さん、仲さんも素晴らしかったですし、北村さんがしっかりとリードしてくださいました」と感謝した。