安田顕と奥野瑛太が“安定感”をもたらす 『日本一の最低男』でバイプレイヤーが担う役割

『日本一の最低男』安田顕&奥野瑛太の役割

 放送中のドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系/以下、『日本一の最低男』)は主演の香取慎吾をはじめとし、子役からベテランまで、俳優たちの力のこもった演技が繰り広げられる作品である。つまり、レギュラーメンバーからゲストに至るまで、粒揃いの俳優陣によって成立しているドラマなのだ。レギュラーメンバーのひとりとして本作を支える安田顕の頼もしさ、第6話のゲストとしてこの作品に新しい風を吹き込んだ奥野瑛太にフォーカスしてみたい。

 本作は、人生の崖っぷちに立たされた“日本一の最低男”こと大森一平(香取慎吾)が、義弟の家族と生活をともにするうち、やがて社会を変えようと奮闘していくことになる新しいホームドラマである。

 シングルファザーである義弟の小原正助(志尊淳)は、保育士としての仕事と家事・育児の両立に限界を感じ、一平を頼ることに。しかし、一平は“日本一の最低男”なのだ。不祥事を起こしてテレビ局を追われた彼は、政治家になって社会的に再起してみせようと目論み、世間からのイメージアップのために小原一家を利用しているところなのである。

 そんな本作で安田が演じているのは、一平の幼なじみの真壁考次郎 。衆議院議員・黒岩鉄男(橋本じゅん)の秘書であり、彼もまたゆくゆくは政治家になる野心を持っているらしい。一平たちが生活する地域の区長の甥っ子ということもあって、地元の有力者との繋がりも深い。政界を目指す一平にさまざまなアドバイスをする特別な存在だ。

 本作は何かしらの身近な問題を起点としたドタバタ劇が展開するが、落ち着いたトーンの安田の演技が、これに安定感を与えているように思う。彼が登場するたび、物語の印象が、そして作品の全体像が、ぎゅっと引き締まるのだ。考次郎は一平よりも政治家に近いポジションにあるわけで、いつかこのふたりが衝突する日がくるのではないかと邪推してしまう。すると現在のような作品のバランスは崩れ、一気にスリリングなものとなるだろう。つまらない邪推に過ぎないだろうか。

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