石田ゆり子と吉田羊が今、歌う理由 長年のキャリアを経ても止まらない挑戦

石田ゆり子と吉田羊が今、歌う理由

〈こころ軽く新しい靴履いて 何も持たずふらりと出かけよう〉

 何かと慌ただしい年末年始。疲れて凝り固まった心がじんわりとほぐれていくような、優しい言葉と歌声で語りかけてくれる楽曲がある。石田ゆり子がlily(リリー)名義で発表した2ndシングル「うたかた」だ。

 lilyとして歌手デビューしてから、もうすぐ1周年を迎える石田。始まりは2021年の12月23日。シンガーソングライターである大橋トリオが“新人のlilyさん”をプロデュースすることになり、現在数曲制作中であることを自身のTwitterで発表。

 第1弾としてlilyが大橋の曲をカバーした「MAGIC(feat. ohashiTrio)」が配信されたが、当初、lily=石田ゆり子であることは伏せられていた。その約2カ月後に正体を明かすのと同時に「うたかた」をリリース。10月26日には初となるミニアルバム『リトルソング』でCDデビューも果たした。大橋のデビュー15周年記念公演にもゲスト出演し、観客5000人の前で歌を披露するなど、芸歴35年にして石田の新たな挑戦が続いている。

 石田といえば、放送から6年が経った今もドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/以下『逃げ恥』)で演じた“百合ちゃん”こと、土屋百合役のイメージが強い。新垣結衣演じるヒロイン・みくりの伯母であり、良き相談相手であるキャリアウーマンという役どころを説得力をもって演じた石田。「女は結婚して、子供を産むことが一番の幸せ」という旧来の価値観に押し潰されそうになりながらも、“自分の幸せ”を模索し続け、美しくあろうとする百合ちゃんの姿に多くの女性が共感と憧れを抱いた。そんな百合ちゃんと石田の生き様にはどこか重なる部分がある。300万人以上のフォロワーを抱える自身のInstagramで、日々の出来事を写真とともに記録する石田。そこには愛するペットやこだわりのインテリアなど、自分の好きなものに囲まれて暮らす石田の姿がある。

 「ひとりは孤独では無い」「他者ときちんと関わり合うためにも一人の時間は絶対に必要」とは、石田が10月23日の投稿で綴った言葉たちだ。一人の時間を大切にし、誰かや何かに流されることなく自分らしく生きるーーそんな石田のしなやかな強さは音楽活動にも反映されており、自身が手がけた「うたかた」の歌詞でも、“手に入れるために、手放す”という有り様が彼女らしい自然体な言葉で記されている。今、歌うということに関しても石田自身が心の赴くままにやりたいことをやってみた結果。そう考えれば、何ら違和感はない。

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