バディドラマに変化? 『石子と羽男』など恋愛を描かない“男女バディ”が重宝されるワケ

恋愛を描かない“男女バディ”ドラマが増加

 『相棒』(2000年〜/テレビ朝日系)、『未解決の女  警視庁文書捜査官』(2018年〜/テレビ朝日系)、『MIU404』(2020年/TBS系)、『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(2021年/日本テレビ系)……ドラマの中でも名作が多いと言われている「バディ作品」。近年、そんなバディドラマに異変が起きているという。

 それは、同性のバディではなく、男女バディの作品が急増している点だ。もちろん、これまでにも『TRICK(トリック)』(2000年~/テレビ朝日系)や『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010年〜/TBS系)など、男女バディものはたくさんあったが、近年、特に増え始めているという。

 2022年4月期でも、敏腕弁護士の剣持麗子(綾瀬はるか)と謎の男・篠田敬太郎(大泉洋)が事件を解決していく『元彼の遺言状』(フジテレビ系)や、刑事・志村貴文(高橋一生)と犯罪コーディネーターのキリコ(柴咲コウ)が手を組んだ『インビジブル』(TBS系)などが話題となったばかり。両作の特徴として、2人の間に生まれた絆は描かれたが、はっきりとした恋愛要素はなかったように思う。どちらかと言えば、双方のやりとりや関わり合いを色濃く映し出すことによって、物語をより面白く、話が進むにつれての期待値を高めていった。

 地上波のドラマで男女が主人公となる場合、恋愛要素が絡むのはベター。いわゆる「恋愛ドラマ」は需要があるし、なくなってほしくないものである。しかし、近年バディものにその要素が薄れている気がする。誤解を恐れずに言うと、“男女=必ず恋愛をしなければならない”という古臭い観点に飽きている人は少なからずいて、筆者も、恋愛をしない作品が“当たり前”にあってもいいのではないかとも思う。

 2人の関係の終着駅を安易に恋愛に結びつけるのではなく、その先にある友情、絆、ビジネスパートナーへの信頼が高まる瞬間を見守りたい。恋愛が見たいのなら、ほかの作品で観るし、あくまで、“バディもの”を楽しみたくて作品を鑑賞しているのだ。

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