神木隆之介が新たなイメージを確立する? 『らんまん』は“大河”的な朝ドラになるか

 2023年度前期のNHK連続テレビ小説『らんまん』の主演を神木隆之介が務めることが、2月2日にNHKより発表された。

神木隆之介
神木隆之介

 本作は、日本の植物学の父・牧野富太郎をモデルとした天才植物学者・槙野万太郎の物語。時代は明治維新から激動の大正・昭和そして未曽有の敗戦へ。そんな混乱の時代の渦中で、ただひたすら愛する草花と向き合い、明るいまなざしで生命の多様性を肯定し続けた牧野富太郎の喜びと感動に満ちた人生を描く。

 男性主人公の朝ドラは、『エール』(NHK総合)の窪田正孝以来3年ぶりとなる。これまでの男性主人公の朝ドラについて、ライターの木俣冬氏は次のように語る。

「最近でいえば、『エール』(2020年)で窪田正孝さんが、古関裕而さんをモデルにした作曲家を演じていたのが記憶に新しいかと思います。ほかにも、主演ではありませんが、『まんぷく』(NHK総合)では長谷川博己さんがインスタントラーメンの発明家を演じました。女性主人公の場合、どうしても一昔前は職業の選択肢が狭まってしまうこともあり、男性主人公の朝ドラは“職業もの”としての面白さが分かりやすく描かれる傾向にあります。構造としては大河ドラマに近い形ですね。昨年の吉沢亮さん主演の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)は、渋沢家のホームドラマとしての側面も含んでいて、大河でありながら朝ドラのような一面がありました。それとは逆の形で、『らんまん』は朝ドラでありながら、大河のようなスケール感で展開されていくことが期待できます。また、朝ドラは視聴者の大半を女性が占めるため、男性主人公は特に、支えてあげたくなるような真面目さと不器用さを兼ね備えたキャラクターが多くなる印象です」

 そして、主演に抜擢された神木は子役の頃から芸能活動を始め、20年以上のキャリアを持つ“大ベテラン”でもある。そんな神木について、木俣氏は「俳優としての過渡期にある」と語る。

「窪田さん、長谷川さんが演じたキャラクターは、自分の仕事に熱中するあまり、回りのことが見えなくなるときもある、ある種変わった人物でした。『らんまん』も天才植物学者の物語ということで、少し変わった主人公像になる可能性がありそうです。窪田さんや長谷川さんは、朝ドラ以前もエキセントリックなキャラクターを演じるのを得意とされていましたが、神木さんはどちらかといえばクールでミステリアスなタイプ。植物学者という設定から、知性が押し出されたキャラクターになるのではないでしょうか。その中に神木さんの持つ柔らかさや可愛さ、さらにはユーモアが出てくることに期待したいですね。同世代の中でも圧倒的に経験値のある神木さんですが、どこかまだ少年のイメージが残っていて、俳優としては過渡期にあると思います。長い年月を描く朝ドラの中で、実年齢より上の役を演じることで、世間的にも新しいイメージを確立できるのではないでしょうか」

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