『カネ恋』で発揮される松岡茉優の真骨頂 “時間の流れ”を表現するその佇まいを追う

『カネ恋』で発揮される松岡茉優の真骨頂 “時間の流れ”を表現するその佇まいを追う

 松岡茉優の演技に宿る、一瞬で観客の心を引きつけて離さない謎の吸引力のようなもの。なぜ彼女の佇まいからは、こうも目が離せなくなってしまうのだろう。9月15日から放送が開始された『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)の第1話を観ていても、そういうことを考えさせられてしまった。

 『カネ恋』で彼女が演じる主人公の九鬼玲子は、質素な生活を重んじ、清く安らかに暮らすことを志向する“清貧女子”という役柄。なんの濁りもない、すっと透き通ったような生き様が、例えば冒頭の「1680円の豆皿」を窓越しに見つめる姿などに裏打ちされていた。そういった“清いキャラクター”は、『ちはやふる』や『蜜蜂と遠雷』、『劇場』などでも演じ分けてきた、“松岡茉優らしい演技”がわかりやすく一番受け取れる役柄でもあるだろう。

 驚いたのは、『カネ恋』第1話のラストでその“清さ”が一瞬にして崩壊してしまったことだ。あれだけ慶太(三浦春馬)のお金遣いの粗さを指摘していた玲子が、15年間片思いをし続けたという相手・早乙女健(三浦翔平)の前では散財を止められないでいる……。モノにも恋にも一途なのだ、と言われれば確かに矛盾のないキャラクターなのだけれど、その豹変ぶりにビックリさせられた人も少なくないだろう。慶太が放つ「ほころびまくってるのはそっちでしょ……」という言葉にも納得してしまう。

 松岡茉優の「一途な恋」というと、『勝手にふるえてろ』の主人公・ヨシカを思い出さずにはいられない。北村匠海が演じるイチに中学時代から熱心に想いを寄せていて、見ているとは気づかれないように視界の端の方で相手を捉える“視野見”や脳内恋愛にふける姿が狂気的ですらあったヨシカ。あの一途さが、『カネ恋』の玲子にも一瞬宿ったかのようでハッとさせられてしまった。

 九鬼玲子という役柄は、まさしく松岡茉優の真骨頂が現れている役柄なのかもしれない。“清さ”と“乱れ”を行き来する“佇まいの揺れ”が、ある種無機質に見えた玲子に人間らしさを与えてもいる。

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