『キミスイ』から『ふりふら』へ 浜辺美波&北村匠海、3年の月日で見せた変化

『キミスイ』『ふりふら』浜辺&北村の変化

 『君の膵臓をたべたい』(以下『キミスイ』、2017年)の大ヒットから、気がつけば早3年。同作でダブル主演を務めた浜辺美波と北村匠海がまたも学生服に身を包み、切ない恋模様を展開させる『思い、思われ、ふり、ふられ』(以下、『ふりふら』)が封切りとなった。果たして本作で、彼ら二人はどのような変化を見せてくれるのだろうか。

『君の膵臓をたべたい』(c)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (c)住野よる/双葉社

 まだ若い二人にとって『キミスイ』といえば、名刺代わりの作品だと断言して間違いないだろう。同作について冒頭で“大ヒット”と記しているが、興行的に成功し、浜辺、北村の両者ともが“第41回日本アカデミー賞 新人俳優賞”をはじめ、いくつかの賞を受賞し、その演技が高く評価されたことも記憶に新しい。当時まだ現役高校生であった浜辺は等身大の姿で、そして北村は、若くしてすでに積み上げてきたキャリアに裏打ちされたテクニックで、儚い青春模様を瑞々しく演じ上げていたように思う。

『思い、思われ、ふり、ふられ』(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社

 同作が成功して以降の二人の活躍ぶりは誰もが知るところ。この3年間、“破竹の勢い”とはまさに彼らのことであった。浜辺は、世代の近い若手俳優陣がズラリと名を連ねた『となりの怪物くん』(2018年)でみなと肩を並べ、続く『センセイ君主』(2018年)では男性教師に恋するヒロインをハイテンションで好演。『映画 賭ケグルイ』(2019年)で演じた蛇喰夢子のようなトリッキーな役どころは、彼女の得意とするところであり強みだ。かと思えば、超大作『アルキメデスの大戦』(2019年)で正統派のヒロインに扮したり、彼女がこの3年間で得た演技者としての幅は大きい。放送中である横浜流星とのダブル主演作『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)ではシリアスな役どころに挑み、彼女のその幅が明確に見て取れることだろう。

『思い、思われ、ふり、ふられ』(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社

 対する北村も「さすが」といったところ。『春待つ僕ら』(2018年)では土屋太鳳、磯村勇斗らと、ひと月違いで公開された『十二人の死にたい子どもたち』(2019年)では杉咲花、新田真剣佑、橋本環奈らと若手オールスター戦を繰り広げ、『君は月夜に光り輝く』(2019年)では、厭世的な少年が“生きる意味”を見出していくさまをケレン味なく体現した。後者での北村の、今にも消え入りそうな儚げな佇まいは、彼自身の持っている特別な要素だろう。その後の『影踏み』(2019年)での謎の青年役にはこれが活きていたし、『サヨナラまでの30分』では、そこにコミカルな要素も技術として取り入れていたように思えた。コミカルといえば、公開待機中の『とんかつDJアゲ太郎』での北村が非常に楽しみなところである。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる