『レゴ(R)ムービー2』は未来の可能性を暗示する 物語上のさらなるテーマの追求へ
フィル・ロード&クリストファー・ミラーといえば、いまや最も注目されているクリエイターでありプロデューサーと言っても過言ではないだろう。近年は監督として『レゴ(R)ムービー』を作り上げ、主導的なプロデューサーを務めた 『スパイダーマン:スパイダーバース』では、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞するなど、常に新しい感覚を求め映像表現の革新を目指している。
そんな、ロード&ミラーの代表作ともいえる第1作『レゴ(R)ムービー』の続編、『レゴ(R)ムービー2』では、彼らは監督を降りるも、引き続き脚本を担当。また製作者にまわって作品をサポートしている。そして監督は、ドリームワークス・アニメーションの『シュレック フォーエバー』や『トロールズ』、そして実写映画の監督もしているマイク・ミッチェルに託されている。
さて、同じ手法をもって作られた『レゴバットマン ザ・ムービー』、『レゴニンジャゴー ザ・ムービー』も経て、満を持して公開された本作『レゴ(R)ムービー2』の出来は果たしてどうだったのだろうか。ここでは内容の評価と、本作が描いたものが何だったのかを考察していきたい。
第1作『レゴ(R)ムービー』の革新的なところといえば、やはり、ほぼレゴのみで作り上げられた圧倒的なヴィジュアルであろう。レゴのような、あまり融通の利かないイメージのある、硬質的で工業的なプラスチックのブロックを動かして作るアニメーション……。おもちゃとの密接なタイアップというところも含め、当初は私も、これに懐疑的な目を向けてしまっていた。だが公開されると、そのように感じていただろう大勢の見方をひっくり返し、そのような条件においても、優れた脚本や演出によって、重厚で意義あるテーマをエモーショナルに描けることを証明してみせたのだ。
さえない主人公エメットの悲哀や、彼が起こす奇跡、颯爽とバトルを繰り広げるワイルドガール、性格がねじ曲がったバットマンなど、個性的で魅力的なキャラクターは、しっかりと作品のなかで人間的な魅力を持っている。そして、レゴたちの世界と、それで遊ぶ人間たちの世界という、連動した2層の構造によって、それぞれのドラマからテーマを立体的に浮かび上がらせることに成功している。
続編となる本作が題材とするのは、そのような2層の構造が生み出す新たな問題だ。それは、前作で暗示されていた、“小さな妹の出現”である。ブロックをむちゃくちゃに組み合わせたような、ある意味アヴァンギャルドなレゴ“クリーチャー”が、父親から兄に継承され管理されている、統制のとれたレゴの世界に出現し、その破壊的価値観で混沌と恐怖をもたらし始めたのだ。