綾瀬はるか、いつまでも無色透明な“特殊性” 『ぎぼむす』亜希子の変化は『逃げ恥』平匡と重なる?

綾瀬はるか、女優としての“特殊性”を読む

 視聴率、評判ともに好調を維持しつつ、8月14日放送分より第2章に突入した、綾瀬はるか主演の『義母と娘のブルース』(TBS系、略称『ぎぼむす』)。脚本・演出・キャスティングのバランスの良さもさることながら、改めて再確認したのは、ヒロイン・亜希子を演じる綾瀬はるかの女優としての特殊性だ。

 第1章では、感情表現を不得手とする元キャリアウーマン・亜希子が、結婚相手・良一(竹野内豊)や連れ子、彼らを取り巻く環境、PTAなどに、ビジネスライクな“正論”でまっすぐ、不器用にぶつかりつつも、新たな価値観と人間味を獲得していった。

 序盤で必要とされるのは、亜希子のロボットのような無機質さであり、本来の綾瀬の大きな魅力・ふんわりした笑顔を完全に封印。体温の感じられないカチカチの無表情で、少々滑稽に見える機械的な動きをし、小学生の義理の娘相手に体を直角に折り曲げて名刺を渡したり、“母親”として採用してもらうために履歴書を送ったりする。義理の娘が「変な人!」と怪訝そうな顔で拒否するのも、無理はない。

 ビジネスの経験で得た正論とは違う新しい言葉や価値観に出合うたび、亜希子はそれをロジカルに理解しようと「〇〇とは?」と尋ねる。そして、相手に辟易されながらも理解できるまでぶつかっていき、やがては異なる価値観との“接点”を見出していく。

 そうした機械のような無機質さ、正しさを表現するうえで大いに説得力を与えているのが、綾瀬の陶器のような肌と、真っすぐ伸びた背筋、カクカクの不自然な動きもスムーズに繰り出せる身体能力の高さだ。

 さらに、『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系)での干物女やNHKの大河ドラマ『八重の桜』など、代表作が多数あり、CMにも多数出演する人気女優でありながら、いつまでも無色透明であるということも、綾瀬の特殊性だと思う。

 だからこそ、SNS上でも「亜希子さん」と役名で語るつぶやきが多数見られる。こんなにも役名で呼ばれる人気女優というのは、毎朝その顔を見続ける朝ドラヒロイン以外では、そう多くない。いかに綾瀬が常に「まっさら」な印象であるかがよくわかる。

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