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綾瀬はるかと竹野内豊が見出した奇跡 『義母と娘のブルース』“白”の演出を読み解く

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 『義母と娘のブルース』(TBS系)は早くも大きな転換期を迎えようとしている。いつも朗らかに笑い、ナレーションの声だけでも綾瀬はるか演じる妻・亜希子、並びに娘・みゆき(横溝菜帆)への優しさとたっぷりの愛が伝わってくる竹野内豊の素晴らしさもあり、永遠にこのままでいてくれればいいとさえ思ってしまうほどだ。

 『義母と娘のブルース』は、桜沢鈴の同名コミック(ぶんか社)を原作に『わたしを離さないで』(TBS系)、『おんな城主 直虎』(NHK総合)の森下佳子が脚本を担当している。森下は『おんな城主 直虎』でサラリーマン社会でありそうな物事、視点を戦国時代に持ち込んだが、今回の『義母と娘のブルース』は逆に、戦国時代の要素を現代のサラリーマン社会ならびに家庭生活に持ち込んだ。

 手段を選ばない戦国部長・亜希子(綾瀬はるか)は、“世を忍ぶ仮の姿”専業主婦へと形を変え、妻として母親として、時に予想外に、時に不器用に奮闘する。綾瀬はるかの身体能力とコメディセンスによって繰り出される度肝を抜かれるハードな腹芸、土下座、一気コールなどに、みゆきとともに呆気にとられていたのに、気づいたらその裏にあるあまりの純粋さ、真っ直ぐさに、良一(竹野内豊)とともに心から愛おしくなり、応援せずにはいられなくなった視聴者は少なくないだろう。

 第5話の「母親にも妻にも向いているとは思えない、仕事しか取り得のない人間の私でいいのか」という亜希子の問いかけに対して、良一は「亜希子さんがいいんですよ」と答える。ビジネス以外では不得意なことばかりの彼女をそのまま包みこむような良一の言葉は、たとえ普通の恋愛から始まった結婚ではなかったとしても、これ以上ない愛の告白だと言えるだろう。そしてそれは、この物語が、戦国部長こと元バリバリのキャリアウーマンが一家庭に“入社”して、キャリアウーマン的思考で新しい家庭像を切り開いていく話と思いきや(もちろんそういった部分もあるのだが)、平凡でのんびりと、日常に転がる“奇跡”ばかり探している夫・良一と、可愛い娘・みゆきの行動に、逆に変えさせられていく、ロボットのような戦国部長が、人間性を取り戻していく物語であったことを示している最高の一言だった。

 このドラマは奇跡で溢れている。特筆すべきは2人の男性だ。1人は、ドラマ冒頭から自動販売機のアタリ(7揃い)、ナンバープレートの番号の並びなど、奇跡を見つける達人・良一であり、もう1人は、あらゆる職業を点々としながら、宮本家の日常に小さな影響を与え続けている“奇跡”そのもの・佐藤健演じる章である。

      

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