タイ・ウェスト監督が語る『サクラメント 死の楽園』製作秘話「イーライ・ロスとの素晴らしいコラボ」

『サクラメント』をT・ウェスト監督が語る

 1978年に実際に起こった、カルト教団“人民寺院”の信者による集団自殺事件を基に、『グリーン・インフェルノ』のイーライ・ロスが製作を務めたことでも話題のドキュメンタル・ホラー『サクラメント 死の楽園』が11月28日に公開される。本作で監督を務めたタイ・ウェストのオフィシャルインタビューが到着した。

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(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC

 ある日、連絡が途絶えていた妹から奇妙な手紙を受け取ったパトリックは、過激な取材スタイルで知られているVICE社のサムとともに、「エデン教区」へ潜入取材を敢行する。一見、平和に見える“地上の楽園”だったが、徐々に不可解な空気が見え隠れし始める。彼らは取材を装い、妹を救い出そうとするのだが…。

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(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC

 本作のコンセプトについてウェストは、「僕は常々、ジョーンズタウン(カルト教団“人民寺院”の教祖ジム・ジョーンズが開拓した自給自足できる居住地)に着想を得たミニシリーズを作りたいと思っていたんだ。けれど、それは実現できそうもなく、気が遠くなるほどの時間を要することに気づいて、もっと現実味のある企画へとストーリーを改訂することにしたんだ」と語る。その結果生まれたアイデアについては、「僕らは今、不安定な時代に生きていて、60年代や70年代に様々な理由で多くの人が“人民寺院”に加わったあの時代に似ていると思う。話を現代に置き換え、過激な潜入取材を生業とするVICE社がその現場を観客目線で語るのに最も適していると思った。ここ最近、VICE社が一番興味深く刺激的なニュースを発信しているし、彼らはそのために大きなリスクを背負っているからね。完璧な組み合わせだと思ったよ」とVICE社をストーリーに組み込んだ理由を明かした。

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(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC

 VICE社が本作にどのように関わったかという質問に対しては、「VICE社の共同設立者であるスロオッシュ・アルビとは共通の友人が何人かいたんだ。僕は彼にこの映画のプレゼンをして、他のどのニュースメディアよりもVICE社をこの映画に登場させることが大切だと力説したんだ。そしたら彼は『面白そうじゃないか、ぜひやってみよう!』と快諾してくれた。夢のような交渉だったよ」と答えた。

 本作は、全編P.O.V.(=主観映像)で描かれており、観客は集団自殺の事件現場に放り込まれたような感覚に陥るのも特徴のひとつだ。このスタイルを取り入れた理由については、「僕は“P.O.V.スタイル”を“ニューメディア”映画の一つの手法だと思っている。VICE社のドキュメンタリースタイルを構造モデルとして採用したけれど、似たジャンルの映画を超越するストーリー、撮影手法、音響効果を盛り込めるように努めた。願わくば、この映画でただの“ファウンド・フッテージ”ものではなく、“全く新しいものを見た”と感じてもらえると嬉しいよ」と語る。

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(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC

 本作では、ジョー・スワンバーグやAJ・ボーウェン、ケンタッカー・オードリーなど、ウェストの監督作『V/H/S シンドローム』や、出演作『サプライズ』などのキャストが勢ぞろいしている。ウェストは、本作で素晴らしかったことのひとつとして、「自分自身がキャスティングを100%コントロールできたところ」を挙げた。「ほとんどの登場人物が実在する俳優を念頭に置きながら描いた脚本だった。そしてその全員が結果的に思惑通りのキャスティングができたんだ。僕は、監督業で大切なことの75%がキャスティングだと思っているよ。そしてキャスティングの権限を持てることが監督という仕事をより円滑に運べるし、より目指している映画を生み出す結果に繋がるんだ」。

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