大野いと、ツンデレ演技をどうこなすか? 『馬子先輩の言う通り』先輩キャラに期待すること
毎週金曜日にフジテレビで放送されている『馬子先輩の言う通り』で、大野いとがついに連ドラ初主演を果たしたというので観てみると、なんと放送枠が15分しかない。しかも、CMを挟むので実質尺が11分弱しかないので、はたして連ドラと呼んでいいものかと悩ましい。
競馬好きで馬にしか興味のない美人OL馬子と、彼女に恋をする若手社員の岡部豊(この名前のチョイスに、どうしても笑えてしまう。ちなみに他の登場人物の役名には、有名馬主が使う冠名が用いられているので、競馬ファンは間違いなくニヤリとしてしまうであろう)。この二人の恋模様が描かれるこのドラマは、放送された週末に行われるJRAのメインレースの結果によって翌週の放送内容が変わるという、なんとも突拍子もない試みに挑んでいるのである。
そのような試みがあるがため、必然的に幾つかのパターンを用意して撮影しなければならないともなれば、1話の短さも納得である。そういえば、昨年夏にフジテレビ深夜枠で放送された『おわらないものがたり』でも、各回終了時に、その後の展開に関わる選択肢から視聴者がデータ放送やインターネットを介して投票し、次週放送される回にその結果が反映されるという視聴者参加型ドラマを作り上げていた。
元々フィクションの世界は、視聴者は制作者から提示された情報を単純に受け止めるほかなかっただけに、このような視聴者参加型の取り組みは視聴者自身にとって、ドラマの世界に影響をもたらすという優越感を得ることができるので今後増加していきそうな予感がする。ところが今回は物語をどちらに転ばせるか選ぶことができるのは、視聴者ではなく競走馬であるというのだ。フィクションの世界に現実が介入するという、これまであまりなかった面白みがドラマに加えられたのである。ただ困ったことは、放送の2日後の夕方にレース結果が判明するので視聴者は翌週の大筋を知ってしまい、連続ドラマに欠かせない「次週はどういう展開が待っているのだろう」というドキドキ感が持続しないのではないだろうか。それはかなりリスキーなようにも思える。
先週放送された第3話では、岡部豊が馬子に菊花賞の予想を提示し、「この馬が勝ったら僕と付き合ってください」と告白をしたのだが、その本命馬であったスティーグリッツが惨敗を喫してしまったので、第4話では振り出しに戻るのであろう。一番危惧されるのは、このまま岡部豊の予想が一度も的中せずに、物語が何も進まずに終わることである。とはいえ、年末の有馬記念までほぼ毎週のように大レースが続く中で、第8話でのジャパンカップ、第11話での朝日杯FSと、限られたレースでのみこのような試みを実施するとのことなので、途中途中である程度の調整をしていくのであろう。