王谷晶、朝宮運河が絶賛 女性文学賞候補作のカミラ・グルドーヴァ『楽園の子どもたち』邦訳刊行

グルドーヴァ『楽園の子どもたち』刊行へ

 カナダ出身の作家、カミラ・グルドーヴァによる初長編小説『楽園の子どもたち』(上田麻由子訳)が、2026年8月27日に河出書房新社より刊行された。

 本作は、イギリスの文学賞の一つ、女性文学賞(Women's Prize for Fiction)候補となった長編小説。原題は『Children of Paradise』。ほとんど何も持たずにこの国に引っ越してきたばかりのホリーが、前任者が5日で精神を病んだという映画館〈パラダイス〉で働きはじめるところから物語は動き出す。同僚の誰からも話しかけられない鬱屈とした日々を過ごすホリーが、ある日閉館後の館内を覗くとーー。

 「真夜中のカーボーイ」「七人の侍」「タクシードライバー」「ファニーとアレクサンデル」「パルプ・フィクション」「AKIRA」など、古今東西の名だたる映画タイトルを章題や作中に散りばめながら、夢想と悲劇が織り重なる映画世界、低賃金と劣悪な環境での労働、暗闇の中で連鎖する陰惨な現実を描き出す。前作を超えるグロテスクなイメージ、不条理に満ちた一作となっているという。

 著者のカミラ・グルドーヴァは、カナダ出身でスコットランド・エディンバラ在住。マギル大学で美術史とドイツ語の学位を取得した。2016年に「ワクシー」で、心理的サスペンス、ホラー、ダークファンタジーのジャンルにおいて最も優れた小説に贈られるアメリカの文学賞、シャーリイ・ジャクスン賞(中編部門)を受賞。同作は翌年の英国幻想文学大賞の最終候補にも選出され、2017年のデビュー短編集『人形のアルファベット』に収録された。2023年にはイギリスの老舗文芸誌「グランタ」が10年ごとに選出する「若手作家ベスト20」にも選ばれている。

 初邦訳となった短編集『人形のアルファベット』(2025年河出書房新社刊)は『このホラーがすごい! 2026年版』(宝島社刊)「海外編」第6位に選出された。他の著書に『とぐろを巻いたヘビ(The Coiled Serpent・未邦訳)』がある。

 本書には、作家の王谷晶、怪奇幻想書評家の朝宮運河、マン・ブッカー賞最終候補『Darkmans』の著者ニコラ・バーカー、作家・編集者のシネイド・グリーソンからコメントが寄せられている。

■コメント

王谷晶(作家)
暗闇の中で倦み腐り歓喜することが唯一赦される場所。
美しく悍ましい映画館に魂を食われる痛みと悦びが、読み終えた後もいつまでも疼く。

朝宮運河(怪奇幻想書評家)
グルドーヴァが描く青春の姿はこんなにも歪で、薄汚れていて、美しい。
この場所(パラダイス)では、幻想が現実を呑みこみ、虚構が本当になる。

ニコラ・バーカー(作家/マン・ブッカー賞最終候補『Darkmans』著者)
巧みで無駄なく刺激的。読んで! 愛して! 本当に変だから。

シネイド・グリーソン(作家・編集者/『This Woman's Work: Essays on Music』をキム・ゴードンと共編)
現実よりもリアル。世界に必要とされている作品。

■書誌情報
『楽園の子どもたち』
著者:カミラ・グルドーヴァ
訳者:上田麻由子
装丁:名久井直子
装画:Franz Graf von Pocci
仕様:46判/上製/216ページ
価格:2,970円(税込)
発売日:2026年8月27日
出版社:河出書房新社

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