加藤好弘と芸術集団〈ゼロ次元〉の全貌に迫る『反万博の思想 加藤好弘著作集』記念イベント開催決定

『反万博の思想』記念イベント開催

 細谷修平『反万博の思想 加藤好弘著作集』(河出書房新社/2025年5月刊)の発売記念イベントが全国各地で開催される。

 独自の肉体表現によって戦後の日本美術界を刷新し、今改めて注目を集める加藤好弘と〈ゼロ次元〉の全貌に迫った『反万博の思想 加藤好弘著作集』。

 本書の発売を記念し、今まさに万博開催中の大阪で「反万博特集上映」が9月5日から3日間にわたり開催。加藤好弘自らがメガホンをとった〈ゼロ次元〉儀式の集大成的作品『いなばの白うさぎ』(1970年、オリジナル版)の他、同時代の映画作家による貴重な作品上映を通して「反万博の思想」に迫る。各プログラムの上映前後には、映画、現代美術、社会思想など各方面から招かれたゲストによるトークイベントも開催予定だ。

 また9月30日から10月11日の期間には東京で「前衛芸術と宗教からみた万博と反万博」も開催。1970年に開催された大阪万博では、建築やデザイン、美術、映像表現など、さまざまな分野からの参加があると同時に、万博に反対する議論や表現が巻き起こった。

 この小展示では、当時の宗教から示されたの万博への意志表示、反万博を掲げた前衛芸術の表現者たちによる運動を、写真やポスター、機関誌など当時の資料から紐解く。

 10月25日には名古屋にてシンポジウム「ゼロ次元と戦後名古屋の大衆文化を探る」が開催。第一部では、本書の編者である細谷修平と、愛知県美術館学芸員として〈ゼロ次元〉や愛知の美術研究に携わる石崎尚の講演が行われる。

 第二部では〈ゼロ次元〉のもう一人のキーパーソンであり、美術、演劇など幅広い分野で活躍した岩田信市と70年代以降活動をともにしてきた原智彦、名古屋タイムズアーカイブスに取り組む長坂英生たちと〈ゼロ次元〉と戦後の名古屋についてトークセッションを開催。

 第一部と二部の間には、1969年に岩田信市が制作した映画『THE WALKING MAN』を上映予定だ。

■著者紹介
【著者】加藤好弘(かとう・よしひろ)
1936年名古屋市生まれ。多摩美術大学を卒業後、岩田信市らと前衛芸術集団〈ゼロ次元〉を結成し、各地で「儀式」と称したパフォーマンスを長期にわたり膨大な回数行なった。
1970年の大阪万博を前に、ともに活動していた〈告陰〉らと〈万博破壊共闘派〉を結成して活動を展開した。
その後、〈ゼロ次元〉の儀式の集大成ともいえる映画『いなばの白うさぎ』を発表。
2000年代以降、再評価の高まりを受け、国内外でアジテーションを続けた。2018年没。

【編者】細谷修平(ほそや・しゅうへい)
1983年生まれ。美術・メディア研究者。日本戦後芸術のドキュメンテーションに取り組んでいる。
和光大学客員研究員、(一社)戦後芸術資料保存代表理事などを務める。
著書に『日本のテロ』(共著)、編著に『メディアと活性』がある。

■書誌情報
『反万博の思想――加藤好弘著作集』
著者:加藤好弘
編者:細谷修平
価格:7,370円(税込)
発売日:2025年5月27日
出版社:河出書房新社

撮影=北出幸男、©ゼロ次元・加藤好弘アーカイブ、愛知県美術館蔵

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