『地獄先生ぬ~べ~』今だったら懲戒処分? アニメでは再現困難な“平成感”あふれる原作エピソード

7月より新作TVアニメの放送が始まり、あらためて世間の注目を浴びているオカルトマンガの金字塔『地獄先生ぬ~べ~』。同作の作中には、当時の世相を色濃く反映した“平成感”あふれる要素が数多く存在していた。実際にどんな描写があったのか、具体的に振り返ってみよう。
同作は今からおよそ30年近く前、1993年から1999年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された。当然さまざまな描写に、現代とは異なる価値観が反映されている。たとえばそれを象徴しているのが、“やんちゃ”のボーダーラインだ。
原作の第2話「賽の河原の地蔵虐の巻」では、ぬ~べ~の生徒・山口晶が美術展に出展するため作った粘土細工が、夜のうちに何者かに壊される事件が発生。そこでぬ~べ~と晶に加えて、立野広と稲葉郷子が小学校に泊まり込んで張り込みを行う。
しかしこの時、広はビールや日本酒と見られる瓶を持ち込み「パーっといきましょパーっとね!」と言い放つのだった。さすがに響子やぬ~べ~は咎めるが、「せんせ~広ビールもってきてるよ~」「このやろう俺を教師だと思っとらんな~」と呑気なものだ。
ちなみに広は小学5年生という設定。深夜の校舎で小学生が酒盛りときたら、現代ならゲンコツ一発ではすまない大事件だろう。
また、木村克也はクラスで若干浮いている不良キャラという立ち位置だったが、その素行は筋金入りだ。第7話「はたもんばの呪いの巻(前編)」では神社で賽銭泥棒をして痛い目に遭うことに。さらに第19話「魔の13階段の巻」では職員室のゴミ箱から拾ったタバコを校舎裏で吹かした上、模試の答案を職員室まで盗みに行っていた。
現代のマンガやアニメでは、ここまで本気の悪さを働く不良キャラはなかなか珍しいのではないだろうか。ちなみに新作アニメで描かれたはたもんばのエピソードでは、賽銭泥棒ではなく落ちていた賽銭を拾っただけというマイルドな描写に変わっていた。
その一方、生徒だけでなく教師陣についても攻めた描写がいくつも見られる。第6話「河童と鉄棒の巻」でのこと。ぬ~べ~は体育の授業で生徒たちに鉄棒の見本を見せることにするのだが、ジャージのポケットからキャバレーやピンサロ、テレクラやブルセラなど、オトナ向けのチラシが次々と落ちていく。
実はこのジャージはぬ~べ~本人のものではなく、同僚の教師に借りたものだったが、生徒たちには「性欲の塊」と白い目で見られてしまうのだった。濡れ衣だったとはいえ、もし今現実で同じことが起きたら、笑い話どころか懲戒処分になるかもしれない。
そのほか第14話「霊獣・霊霧魚の巻(前編)」では、玉藻が教育実習生としてぬ~べ~たちの小学校にやってくる。そこで女子生徒のなかでも惚れっぽい体質の細川美樹が玉藻に片思いし、ラブレターを渡すという展開が描かれていた。玉藻は相手にしないものの、現代の感覚で読んだ読者は少々ギョッとしてしまうかもしれない。





















