【webtoon試し読み】話題作『クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-』が残酷で美しい……アニメ化迫る本格ハイ・ファンタジー

LINEマンガで好評連載中の本格ハイ・ファンタジー『クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-』(岩原裕二)のテレビアニメ化が7月に迫っている。物語は冒頭からクライマックスで、王に選ばれた13人の勇者が魔獣王・クレバテスと対峙する場面からスタート。アニメのPV第2弾では宮野真守、小野友樹、三宅健太、内田雄馬、阿座上洋平、土屋神葉と、錚々たる声優陣が勇者を演じることが明らかになり、大きな話題となっている。
本稿では、縦読み&フルカラーのwebtoon版から第一話&第二話を掲載。上記の通り“冒頭からクライマックス”であるため具体的なネタバレは控える。まずは実際に読んでみてほしい。
王に選ばれし13人の勇者たちは、伝説の剣を携え魔獣王クレバテスの討伐に赴く。その蛮勇は、エドセア大陸全土の人属を滅ぼしかねない最悪の危機を招いてしまう。世界に唯一残された希望は、魔獣王に託された一人の赤子だった——。
目を引くのは、美しく幻想的で、同時に残酷な世界観をダイレクトに伝える作画の素晴らしさだ。アナログ感の強いどっしりとした線画を基調とした描写は絵本のようでもあり、どこか古き良きアメコミ的でもある。これが“人類の敵”である魔獣が人間の子どもを育てるーーというお伽話のようなクラシカルな物語に映え、デジタル作画が積極的に取り入れられている新たなマンガ表現=webtoonのなかで新鮮な手触りの作品となっている。
一方で、現在隆盛を極めている“異世界ファンタジー”の文脈からも多くのファンを獲得しているのが本作の特徴だ。舞台となるエドセア大陸には5種の「人属」がいる。最も数が多く建築と兵法に長けた「ドーン」、勇敢な森の戦士で狩りと薬学に長けた「オーグ」、水の民で操船と泳ぎに長けた「スラーダ」、荒地に住む野蛮な種族で個人主義の「ベント」、そして最も古い種族で精錬術と加工技術に長け、魔獣に対抗できる武器を唯一作ることができる「ハイデン」。大陸の外には魔獣たちの住処が広がっており、4体の魔獣王が人属の行く手を阻む。その最強格が「月の山」を根城にするクレバテスなのだ。
物語の序盤はこのクレバテスと、運命的な邂逅により育てることになったハイデン人の赤子=ルナ、そして“下僕”として蘇らせられた勇者の一人・アリシアを中心に展開する。理知的だが当然、人間の常識を知らないクレバテスと、正義感が強く勝気に見えるが、利他的で思慮深いアリシアの旅はスリリングで、読者に作品世界のあり方をじっくり伝えていく。強大な力を持ち、何者にも迎合しないクレバテスは、人間界のしがらみを打ち砕く解放者にもなり、読者はアリシアとともに、「何が正義で何が悪なのか」という葛藤を抱えながら物語に没入していくだろう。ルナはクレバテスにとって、そして世界にとってどんな存在になっていくのか、気がつけば最新話まで駆け抜けているはずだ。
本作は横読み版が電子単行本だけでなく、MFコミックス アライブ+シリーズ(KADOKAWA)より新装版コミックスとしても刊行されており、紙の本でじっくり読みたい人にはこちらをお勧めしたい。アニメ化で人気が爆発する前に原作をチェックして、この物語がどんな映像で表現されるのか、毎週の楽しみにしてみてはいかがだろうか。
『クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-』
作品URL:https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0000841
コピーライト:©︎Yuji Iwahara/LINE Digital Frontier





















