『ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史』番外編
G.I.S.M.、GAUZE、LIP CREAM……KATSUTA★ × ISHIYAが振り返る、先輩ハードコアバンドの洗礼


FORWARD / DEATH SIDEのボーカリスト・ISHIYAによる書籍『ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史』(blueprint)の番外編として、同書に登場するアーティストとISHIYAが対談する新連載。
第一回は、ジャパニーズ・ハードコアの最重要バンドである鉄アレイのベーシストにして、ISHIYAの盟友であるKATSUTA★が登場。ふたりが影響を受けた先輩バンドマンたちの衝撃的なエピソードや、当時のシーンならではの空気感、ISHIYAとKATSUTA★が中心になって行った全国ライブツアー〈バーニング・スピリッツ〉の思い出まで、大いに語ってもらった。聞き手は音楽ライターの石井恵梨子。
二人が影響を受けたバンドは?

一一ジャパニーズ・ハードコアシーンを代表するお二人ですけど、お二人が昔よく見たバンド、影響を受けたバンドって何になりますか。
KATSUTA★:影響……僕はスターリンかな。僕は映画からパンクに入ってるから。『狂い咲きサンダーロード』で泉谷しげるとか、ニューイヤーロックフェスでスターリンとか。あのへんから入って、見てるうちにハードコアが出てきて、すぐそっちに行った感じかな。流れてくるんだよね、より過激なほうに。最初パンクでハードコアに行く奴がけっこういた。
ISHIYA:でもハードコアの世界に行くとスターリンは御法度だったね。なんか一方的にスターリンが嫌われてた。
KATSUTA★:あれは横山さん(G.I.S.M.)が言ってたのもある。でもチフスとかはスターリンの流れを汲んでるから、GAUZEのメンバー募集も「スターリンの遠藤ミチロウのように目で威圧できるボーカル募集」とか『DOLL』に載せてるくらいだったから。
ISHIYA:お客さんは一緒だった。スターリンとハードコアは被ってた。
一一ISHIYAさんはどうです? 一番好きだったハードコアバンドって、やっぱりG.I.S.M.になりますか。

ISHIYA:俺、最初はGAUZEが好きだった。そのあとLIP CREAMに衝撃を受けるんだけど。
KATSUTA★:俺もGAUZE大好き。
ISHIYA:GAUZEは演奏力とか一番しっかりしてたし、ライブもすごい盛り上がってた。で、G.I.S.M.はね……怖い(笑)。ほんと音は格好いいんだけど、おいそれとライブも前には行けない感じ。
KATSUTA★:もうライブあんまりやってない時期だったからね。俺らが高校生の頃って、年に一回やるかやらないかになってた。
ISHIYA:うん。あとはTHE EXECUTEとかCOMESも格好よかった。
一一MOBSとかはどうですか?
ISHIYA:MOBSはね、俺、第二期になった時期に見た。すげぇ怖かったけど。でもめちゃめちゃ格好よかった。
KATSUTA★:俺、初期のMOBSは屋根裏で見てる。その時ちょっとモメて頭何針か縫う怪我してるんだけど。これ言ったことあるっけ? 某TRASHってバンドのベースの人がビール瓶バーンと割って殴るんだけど、毎回ガラスの破片がチリチリチリ……って飛んでくんの。で、その横でマサミさん(GHOUL)が俺の頭の傷に指突っ込んで「痛えか?」とか言いながら血ぃ舐めてて。「もうなんなんだこの世界は……」って思ってた(笑)。それが高校生の頃。
一一先輩にあたる彼らに、さらなる先輩的存在っていました?