『負けヒロインが多すぎる!』アニメ2期は八奈見杏菜の食べっぷりに注目!? 舞台の豊橋市には巨大イラストも

2025年も『マケイン』の勢いは止まらない。雨森たきびのライトノベル『負けヒロインが多すぎる!』(ガガガ文庫)を原作にしたアニメの2期制作が決まり、5月19日には原作小説の最新巻となる『負けヒロインが多すぎる! 8』も刊行。高校を舞台にひとりの男子と恋愛に破れた女子たちが織りなすドタバタ劇がアニメで再び繰り広げられ、原作小説による進展もあってファンの興味を引き続ける。
「このライトノベルがすごい!2025」3冠達成 「マケイン」たちの魅力
2024年は『負けヒロインが多すぎる!』が凄かった。宝島社の「このライトノベルがすごい!2025」で初めて文庫部門の第1位を獲得した上に、キャラクター男性部門で温水和彦、イラストレーター部門でいみぎむるがそれぞれ第1位を獲得して、ライトノベル界の頂点へと躍り出た。
キャラクター女性部門で八奈見杏菜が2位に留まり4冠は逃したが、恋愛に敗れる「負けヒロイン」という存在をフィーチャーしたシリーズで、真っ先にその立場に陥る八奈見にふさわしいポジションだといった声も起こって、逆のその存在を際立たせた。
ここまで『マケイン』が盛り上がった背景には、2024年7月から9月まで放送されたTVアニメの出来がとても良く、原作のストーリーが持つ面白さやキャラクターの魅力が広まったことがある。八奈見は幼なじみの袴田草介が、正統派美少女の姫宮華恋と恋仲になって失恋したことを内心に引きずりながら、表向きは明るく振る舞い何でもよく食べるコミカルなキャラで人気となった。
焼塩檸檬は陸上部のエースで明るい性格と健康的なボディの持ち主で、幼なじみの綾野光希を朝雲千早という女子に奪われながら気丈に振る舞いつつ、フッと寂しさをのぞかせるギャップで引きつけた。主人公の温水と同じ文芸部に所属する小鞠知花は、人見知りする姿が小動物のようで愛らしい上に、部長の玉木慎太郎に好きな女子がいると知っていながら告白する健気さが庇護欲を誘った。アニメでは3人を演じる声優たちの喋りが、それぞれにしっかりキャラの特長を出して実在感を高めた。
主人公の温水は、そんな三者三様の「負けヒロイン」たちと恋愛関係に陥ることなく、傍観者的な立場に居続ける。ハーレムもののラブコメによくある彼女が増えていくパターンには向かわない。八奈見や焼塩、小鞠から好意めいたものを向けられることはあるが、持ち前の鈍感力を発揮してスルーし、「そういうとこだよ」と突っ込まれる。そんな温水へのもどかしさを感じつつ、周囲で起こる恋愛がらみのドタバタ劇を、温水を通して眺める楽しさに浸れる作品だった。
舞台となった愛知県豊橋市の風景をリアルに描いたことも、作品への没入感を高めた。温水たちが通うツワブキ高校は実在する時習館高校がモデルで、豊橋鉄道に乗って大学前駅まで行ってそこから線路沿いに少し歩くと、道路を挟んで学校が見える。筆者は、40年前にツワブキ高校の向かいにある大学に通っていたため、当時と余り変わっていない周辺の光景を懐かしく思いつつ、遠くまでよく取材に行ったと感心した。

アニメではこうした描き込みもあって、放送が始まるや否や"聖地巡礼"として豊橋市に全国からファンが訪れるようになった。迎える豊橋市でも市内にある建物にキャラクターたちの巨大なビジュアルが飾られ、豊橋市役所にも垂れ幕が下げられた。JR東海もコラボ企画を立ち上げ、作品の主要スポットに行くと声優のボイスドラマが聴けるようにして、全国からファンを豊橋へと引き込んだ。


もはややり尽くしてしまった感すらあって、アニメの2期が始まったからといって1期の時のような爆発的な人気ぶりを、再び見せることができるのか? といった心配も浮かんでしまう。そこは、アニメの2期に描かれることになる原作の4巻以降の展開次第。結論から言えば、大いに盛り上がることは確実だ。





















