【漫画試し読み】70年代の少年少女にトラウマを植え付けた傑作選『毛糸のズボン』著者・直野祥子インタビュー

今一番恐怖を感じているものは?

直野:やっぱり人の死です。家族や慣れ親しんだ方が亡くなるのはつらいことです。特に残された方のことを思うとね。あとは、社会情勢でしょうか。
そういえば、昔はお化けが怖かったのですが、YouTubeで心霊動画を毎日観ていたら怖くなくなったんですよ。お化けってみんなやること同じなんだなと思ってしまって…。
――驚きです(笑)。てっきり目に見えない世界やおばけには興味がないものかと。そして怖くなくなった理由が気になります。
直野:お化け、大好きですよ! ネタ帳にお化けのお話をたくさん書くほど、ロマンを感じていたものです。でも、いろんな心霊動画を観ていたら、お化けって壁を叩いてラップ音を出すだけだなって(笑)。
――言われてみればそうかもしれません。そして、ネタ帳というキーワードが飛び出しましたが、次回作の構想があるのでしょうか? 最後に今後挑戦したいことなどがありましたら教えてください。
直野:漫画はもう描けないと思います。実はお人形さんを作るのが好きなのですが、もう顔を描いたりする細かい作業ができなくなってしまいまして……。だけど、小説は書きたいと思っています。物語を作ることに関してはかなり経験を積みましたので。あとは、先ほどもお話した通り映画が大好きなので、来世ではぜひ映画を作ってみたいですね。
■書誌情報
『毛糸のズボン——直野祥子トラウマ少女漫画全集』(ちくま文庫)

マリはだれの子
毛糸のズボン
おつたさま
宿題
ひも
かくれんぼ
復讐
こじきの死
はじめての家族旅行
首かざり
雨
シャイアンの大わし
血ぞめの日記が空を舞う
へび神さま
自作解説――漫画と私
【著者プロフィール】
直野 祥子(なおの・よしこ)
漫画家、イラストレーター。神戸・六甲で生まれ、夙川で育つ。1968年、ガロの新人募集コーナーで「実験」が入選し、漫画家としてデビュー。1971年~1973年にかけて少女漫画雑誌「なかよし」「少女フレンド」誌上にて、人間心理をえぐるような異色のサスペンス作品の数々を発表、そのショッキングな内容は当時の読者に多大なトラウマを植え付けた。以降はビッグコミックオリジナルや女性セブン、女性自身などで活躍を続けるも平成7年の阪神淡路大震災で被災し、初期の原稿はほぼ消失。2005年、生まれ育った昭和30年代の夙川での家族の暮らしを絵日記として記した『夙川ひだまり日記』を小学館スクウェアより出版。
カバーデザイン:川名潤
発売日:2月10日
定価:1,100円(10%税込)
ISBN:978-4-480-44009-9
判型:文庫判
ページ数:336頁
























