アニメ「ONE PIECE」放送が深夜に移動 現在の漫画の状況をあらためて解説

アニメ「ONE PIECE」放送が深夜に移動

■『ONE PIECE』の深夜アニメ化の衝撃

  国民的人気アニメの『ONE PIECE』が“深夜アニメ”になる―― 『ONE PIECE』は1999年にアニメの放送が始まり、2006年10月から約18年にわたり、毎週日曜の9時30分から放送されていた。ところが、このたびフジテレビが、4月6日の放送から毎週日曜23時15分の枠に移動すると発表した。

 子どもたちに長年親しまれている長寿アニメの深夜枠への移動について、XなどSNS上では「日曜朝が寂しくなる」「時代は変わった」などのコメントが寄せられている。今回の決定は、アニメの視聴の仕方が変わったことを如実に表している。

 かつて、アニメはゴールデンタイムの定番だった。テレビの前で家族そろってアニメを見ていた。アニメの放送が終わると、次週を待ちわびながら過ごす子どもたちがほとんどだったが、そんな風景は見られなくなって久しい。そのため、以前からアニメのCM枠も売りにくくなっていると言われている。

■録画予約もする必要がない

  一昔前であれば、アニメの放送時間には必ずテレビの前に座っていなければいけなかった。アニメは放送されたらそれで終わりで、再放送でもされない限りは見ることができず、ビデオ化されることも珍しかったためである。もちろん、現在のような配信のシステムもない。

  どうしてもリアルタイムで視聴できない場合は録画予約をする必要があったが、録画はよく失敗した。さらにプロ野球が延長すると放送時間が変更になり、途中までしか録画できていないこともあった。

  こんな苦労を体験した世代は多いはずだが、もはやアニメはNetflixやdアニメと契約すれば、いつでもどこでも気軽に楽しめるようになった。新作もすぐに配信されるし、あれだけ録画に失敗した90年代の名作アニメも好きなだけ見ることができる。テレビの前で全力待機する必要は一切なくなった。

■アニメはスマホで好きな時間に見るもの

  コロナ騒動による巣籠もり期間にNetflixの契約者数は急増し、アニメの視聴の仕方が劇的に変化した。それゆえ、アニメを敢えて日曜に放送する必要がなくなってしまった。深夜に放送しても、すぐに配信してしまえば子どもたちが翌日の朝や、休日の好きな時間に視聴できるのだ。

  「深夜に移ると子どもが困る」というコメントもSNSに多かったが、「子どもたちは配信サイトで見るだろうから問題ない」という意見もあった。どちらも正しいといえるが、アニメは家族でテレビを囲んで見るものではなく、スマホで好きな時間に見るものになりつつあるのは事実のようだ。

  この記事を書く前に電車に乗っていたら、隣で小学生と思われる子どもがスマホで『鬼滅の刃』を視聴していた。通学中などの好きな時間に、新旧問わず好きなアニメを見られるのは素晴らしいことだが、テレビの前で放送を待ちわびるのも楽しいものであった。そうした光景は消えてしまったのは、時代の変化とはいえ残念である。

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