『ダンまち』3つのクライマックスはどこへ向かう? TVアニメ、小説本編、小説外伝……それぞれの壮絶な展開

『ダンまち』が3つのクライマックスを迎えている。1つはTVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇』で繰り広げられている派閥大戦の行方。残る2つはベルが主人公の小説本編『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか20』(GA文庫)と、ベルが憧れる少女剣士のアイズ・ヴァレンシュタインが主人公となる『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア15』が、共通の緊迫状況にあることだ。いったいどうなる? といったドキドキ感を味わいたいなら、リアルタイムでの視聴や読書がオススメだ!
TVアニメ『豊穣の女神篇』は佳境に入っていた”戦争遊戯”が2月から放送へ
物語の英雄に憧れて、ダンジョンがある街オラリオに来たベル・クラネルという少年が、神様のヘスティアと知り合い【ヘスティア・ファミリア】に入って潜ったダンジョンで、圧倒的な強さを見せたアイズ・ヴァレンシュタインに憧れ、自分もそうなりたいとダンジョンでの冒険を繰り広げていく。仲間も増えて冒険の厳しさも増す中で、猛スピードでレベルをアップしていくベルに関心を抱いたのが美の女神フレイヤ。陰からベルの成長を促し助力もしていたが、いよいよ本気でベルを自分のファミリアに引き入れようと動き出した。
TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇』ではそんなフレイヤの行動が、オラリオを大変な事態に巻き込み、解決の方法として、【ヘスティア・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】による”戦争遊戯(ウォーゲーム)”が行われることになる。貧乏ファミリアのベルたちが、オラリオ最強の冒険者のオッタルを始め1級冒険者たちが並ぶ【フレイヤ・ファミリア】と戦ってかなうはずがない。そこでオラリオの他のファミリアの協力もOKとなり、派閥連合が組まれたことで数では勝る【ヘスティア・ファミリア】に勝機も見えたかというとやはりオラリオ最強だけあって、派閥連合は苦戦を強いられる。
そこで起こった意外な展開からベルの疾走が始まったところで、2024年10月からスタートしたTVアニメの第5期はいったん放送がストップ。オッタルという壁を超え、フレイヤとの対峙を経てベルは自分の憧れを貫き通すことができるのか? そんなクライマックスの放送をファンが待ちわびている状況だ。2月と3月に遅れていた残る4話分の放送が行われ、関心への答えが一気に示される。アニメでストーリーを追っている人には嬉しい放送再開だ。
小説本編で描かれたクライマックスの訪れを示唆する光景
派閥大戦は『ダンまち』の原作では第17巻と第18巻で描かれる。どちらも次にいったい何が起こるのかとハラハラさせ、ここで起こるのかと仰天させる連続で一気に読ませてしまう面白さだ。もっとも、原作の本編は最新巻が第20巻まで来ていて、派閥大戦の後にベルに起こった出来事が既に描かれている。これが物語の世界をとてつもない緊迫感をはらんだ状況へと向かわせている。
第19巻でベルは、冒険者を養成する「学区」と呼ばれる施設の生徒に正体を隠して混ざり、ちょっとした冒険を繰り広げる。派閥大戦の喧噪からすこし落ち着きを取り戻し、ほんわかとした雰囲気も漂ったが、第20巻に入ると「学区」が所蔵する希少な金属をオラリオのギルドが徴収すると言い出し対立。双方が選手を出し合い試合を行うのを横目に、ベルはオッタルと並ぶレベル7の冒険者で、「学区」の教師をしているレオン・ヴァーデンベルクと都市の北方へと旅に出る。
そこで繰り広げられた出来事が、世界の置かれたギリギリの状況を示唆するもので、ここから物語はいったいどこに向かうのかといった興味を抱かされる。ダンジョンに潜って強いモンスターを倒し、成長していくベルの活躍ぶりを楽しんでいられた物語が、世界そのものの命運をかけた厳しい戦いへと広がっていく可能性。その中でベルが本当の英雄になるのかもしれないといった期待。いずれ訪れるクライマックスを予感させて終わるかと思ったが、エピローグに登場するある光景が、まさに今、クライマックスが訪れていることを実感させる。






















