『ふてほど』流行語大賞への反発は、オールドメディア批判の一種か? ドラマ評論家が考える"不適切ではない"流行語

流行語大賞『ふてほど』への反発を考える

なになら"不適切ではない"流行語足り得たのか

 『ふてほど』が新語・流行語大賞を受賞したというニュースが流れた後、SNSでは「ドラマをそもそも知らない」「不適切報道の略じゃねーのか?」といった、テレビ局主導で時代のトレンドを作ろうとする自作自演性や、テレビ局も含めた大手マスコミの偏った報道そのものを揶揄する声が多く挙がった。

 同時期に、盛り上がりを見せた兵庫県知兵庫県知事選挙の内実をまともに報道しなかったテレビや新聞といったマスコミの体質が「オールドメディア」として批判されていたことも大きかったのだろう。その意味で『ふてほど』に対する反発はオールドメディア批判の一種と考えて間違いないだろう。

 だが、皮肉なことに疲弊したテレビの現在を自虐的な笑いを通して描いたドラマが『ふてほど』だった。その意味で不適切報道の略というのは、あながち間違っていない。

 最後に、筆者は『不適切にもほどがある!』のレビューをいくつか書いたが、その時は『ふてほど』ではなく『不適切』と略していた。

 仮に年間大賞が『不適切』だったら時代を象徴する言葉(もしくは作品)という意味合いが強まり、納得する声も多かったのではないかと思う。

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