弁護士に聞く『地面師たち』のリアル 「現実の不動産と登記の間にはどうしてもズレが生じ得る」

弁護士に聞く『地面師たち』のリアル

──土地の取引というのは、トラブルが発生しやすいんですね。

 モデルとなった事件自体、そもそものきっかけは地面師詐欺ではなかったらしいですね。最初はあの土地の所有者を装って、金融ブローカーから2億円ほど騙し取った事件から始まっていて、「この土地を売っぱらったことにしてしまえばもっと儲かるのでは」という計画をリーダー格が立てたことで本格的に地面師詐欺になったそうです。

──怪しい取引と地面師詐欺は地続きなんですね。

 土地という財産にはすごく価値があるのに、一方で登記さえ移せば誰かに所有権を移すことができてしまう。ドラマに出てきた土地はたまたま個人の所有でしたが、例えば不動産管理会社のオーナーから会社の株式を騙し取って代表者を変更して乗っ取り、その会社の代表として土地を仲間に売り払ってしまうというケースもあります。会社の乗っ取りから土地の転売という流れですね。転売を重ねられた上で「何も知らない」と言われてしまうと後から取り戻すことも非常に難しい。

──そうか……個人の持っている土地ならなりすましも必要ですが、相手が会社なら乗っ取ってしまうことができるんですね。

 詐欺事件をいくつか手がけて知りましたが、世の中には想像以上に怪しい自称コンサルタントとか、自称不動産ブローカーがいます。いろんな事件や裁判にそういう人たちがしょっちゅう出てきます。いわゆる地面師も、そういう人たちの中にいるのだろうと思います。

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