『きみの色』コミカライズ版から伝わる「人が色で見える」感覚ーー小説版とともに映画の解像度を上げる力作

『きみの色』コミカライズ版レビュー

 コミカライズ版『きみの色』の第1巻は、そうやってバンドが立ち上がるところで終わり、第2巻はルイが暮らす島にトツ子ときみが行って、いっしょに練習するシーンから始まる。ここでも、モノクロの漫画にルイの緑ときみの青が乗って、爽やかさにハッとさせられる。人が「色」で見えるというのはこういうことかと思わされる。

 ルイは依然として母親からの医者になれというプレッシャーを感じ、きみは祖母に高校を辞めたことを言えない罪悪感を抱えて暮らしている。そうした中でバンドで集まり、あるいは作った音楽を交換し合うことで心が沈まずにいられる。そんな日々が続いた先、本当だったら修学旅行に行くはずだった期間をトツ子が暮らす寮で過ごすことになったきみが、居残ったトツ子と交流を深めるシーンが登場する。

 夜の女子寮で楽しげに会話をする2人の女子の描写は、鈴木小波の絵柄もあって優れた少女漫画に触れている気持ちになれる。松苗あけみや吉野朔実が活躍していた「ぶーけ」でも読んでいるような感じとも言い換えられそう。そうした少女漫画感は、映画よりもずっと強いかもしれない。

 第2巻はその後に訪れるある事態で幕を閉じ、続きは「コミックNewtype」での連載で描かれていく。ストーリーは基本的に同じだが、登場する人たちの心情に迫り過去にも触れていく構成が、映画から感じた印象を補足していってくれることだろう。もっと詳細に心情なり状況を知りたい人は、『小説 きみの色』を読んでみるのもひとつの手。そうやっていろいろと情報を補完した後で、あらためて映画を見返すと分かることが格段に多くなっているはずだ。

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