『呪術廻戦』宿儺との戦いが決着! “異端の主人公”虎杖は何を成し遂げたのか
※本稿は『呪術廻戦』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。
芥見下々が手掛ける人気マンガ『呪術廻戦』の最終回まで、残り3話。9月2日発売の『週刊少年ジャンプ』40号(集英社)に掲載された第268話では、長きにわたって描かれてきた「人外魔境新宿決戦」がついに終結を迎えた。
【写真】かっこいい!! 『呪術廻戦』虎杖悠仁のPVを始め、コミックの書影など
物語がクライマックスに近づくなかで、作品全体のテーマがあらためて浮き彫りになっているが、とくに印象的なのは主人公・虎杖悠仁の“特異性”だ。
これまで「人外魔境新宿決戦」では呪術高専サイドの人間たちと、ラスボスである宿儺が激闘を繰り広げてきた。最終的に戦いの構図は虎杖と宿儺によるタイマン勝負となり、虎杖の「黒閃」が直撃したことで、宿儺が伏黒恵の肉体から切り離され、消滅する……という結末に至った。
興味深いのはそこで虎杖が見せた言動だ。消滅していく宿儺に対して、「オマエは俺だ」と寄り添うような態度をとり、自分にふたたび受肉して初めから人生をやり直すことを提案するのだった。
宿儺は少なくとも今まで作中で描かれている範囲では、徹頭徹尾同情の余地のない邪悪な存在という印象を受ける。あらゆる生命に敬意を払わず、自分の欲望の赴くままに他者を蹂躙してきた。途中まで宿儺に受肉されていた虎杖は、その性質について誰よりも深く理解しているだろう。
しかしそれでもなお虎杖は宿儺を突き放すことなく、最後の瞬間まで“共に生きる”道がないかと模索していた。悪を断罪して終わるというエンディングもあり得たなかで、虎杖のこの態度はきわめて斬新なものと言えるはずだ。
ではなぜ虎杖は宿儺を救うことを諦めず、手を差し伸べ続けたのだろうか。そこには『呪術廻戦』という作品のテーマが深く関わっているように思われる。