『呪術廻戦』打ち切り危機から大ブレイクへの転機は? 連載開始から約6年半の歴史を振り返る

(c)芥見下々/集英社

※本稿は『呪術廻戦』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。

  シリーズ累計9,000万部を突破している人気マンガ『呪術廻戦』が、9月30日発売の『週刊少年ジャンプ』44号(集英社)で最終回を迎えることが明らかとなった。それに伴いジャンプ+とゼブラックでは、245話分の順次無料公開キャンペーンも始まっていて、呪術廻戦がSNS上でも話題となっている。

  そこで今回は『呪術廻戦』が連載開始から今に至るまで、いかなる歴史を辿ってきたのかを紹介。約6年半に及ぶ歩みを、あらためて振り返っていきたい。

  まず同作の連載が始まったのは、『週刊少年ジャンプ』2018年14号のこと。作者・芥見下々が2021年に『漫道コバヤシ』(フジテレビONE)で語った内容によると、2017年に『ジャンプGIGA』で短期集中掲載した『東京都立呪術高等専門学校』が好評だったことから、その先の物語を連載で描いていくことになったという。

  ただ、『週刊少年ジャンプ』は読者アンケートをもとにした熾烈な連載枠の競争が行われていることでお馴染み。同作も連載が始まった当初は、苦戦を強いられたらしく、芥見は第1話から第3話、第4話あたりまでのアンケート結果が低調だったことを明かしていた。

 そこで「ちょっとマズいな」と思い、ヒキを強くするため、序盤の山場として「呪胎戴天」を持ってくることに。同エピソードは単行本1巻収録の第6話から始まったもので、虎杖悠仁・伏黒恵・釘崎野薔薇が呪胎の発生した少年院に乗り込むというストーリー。物語が始まる直前のナレーションで、「高専一年3名が派遣され」「内1名 死亡」という“公式ネタバレ”が記されていたことが衝撃を呼んだ。

  そして実際に「呪胎戴天」は、虎杖が命を落とす形で幕を閉じることになる。主人公がたった9話で死亡するという型破りの展開に、多くの読者が度肝を抜かれたことだろう。ちなみにここで打ち切りが確定していた場合には、虎杖が死亡したまま結末を迎える予定だったという。

  さらに「呪胎戴天」が終わった直後の第10話にて、物語が大きく動き出す。漏瑚を始めとする不気味な姿の特級呪霊たちが初登場する一方、前日譚のキャラクターである呪術高専2年生組の禪院真希・狗巻棘・パンダが顔見せを果たす。極めつけは、「京都姉妹校交流会」の開催予告。これは呪術高専の京都校とのあいだで行われる武闘大会のようなものであり、言うまでもなく少年マンガの花形展開だ。

  交流会が実際に始まるのは第33話からなので、タイムラグがあるものの、そのあいだに“現代最強の呪術師”五条悟による初の本格的なバトルシーンも描かれており、「呪力」や「術式」、「領域展開」といった設定の説明が掘り下げられていった。

  ただし同作の方向性が広く伝わったという意味では、もっとも重要なターニングポイントは第19話から描かれた「幼魚と逆罰」だろう。これは特級呪霊・真人の暗躍によって、惨たらしい悲劇がもたらされるエピソードで、芥見のダークな作家性が遺憾なく発揮されていた。

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