『誰が勇者を殺したか』などの話題作で2024年ラノベ界を席巻 駄犬の作品に駄作なし!
駄犬には、7月25日に出た『悪の令嬢と十二の瞳 ~最強従者たちと伝説の悪女、人生二度目の華麗なる無双録~』(オーバーラップ)という作品もある。悪逆の果てに服毒死させられた公爵令嬢のセリーナが、巻き戻った時間の中で今度は負けないと孤児たちを集め凄腕の暗殺者に仕立てようとしたところ、厳しい訓練を恨むどころか逆に慕われ、セリーナともども救国の英雄になってしまうという、「モン肉」シリーズに重なるズレっぷりを楽しめる。
もう1冊、『死霊魔術の容疑者』 (GCノベルズ)という作品もあって、奴隷として売られた少女が死霊魔術師の下で学び、高めつつ逆らって別れた先でまた出会った展開の果てに来る慈愛に満ちた世界の心地よさを味わえる。これらはいずれも小説投稿サイトへ掲載から書籍化された作品。書く内容の幅広さとクオリティの高さを商業の世界でも見せつけた格好だ。残る掲載作「カナンの城」が刊行されたあと、殺到しているだろう依頼をこなしてオリジナルでどれだけの作品を生み出していくかが気になるが、そこは大丈夫だろう。
駄犬は傑作しか書かないのだから。