『ジャンケットバンク』天堂弓彦を“崇める”読者が続出? 謎多きカリスマを徹底分析
2020年7月より「週刊ヤングジャンプ」にて連載中の『ジャンケットバンク』。現在コミックスは15巻を数え、全く新しい形のギャンブル漫画に心奪われる読者が続出している。度々ポップアップストアが開催され、グッズや単行本の特典は常に即完売の状態だ。
最新の15巻では、伊藤班から宇佐美班へ移籍した天堂弓彦が快進撃を見せる。今回は謎のベールに包まれた神父・天堂弓彦について解説しよう。神が織りなす天堂ワールドを目の当たりにすれば、あっという間にあなたも信者になっていることだろう。
己を信じてやまないギャンブラーの怪異
誰もがそっと手を合わせたくなるような「模範的な見た目」と、穏やかな口調が印象的な天堂弓彦だが、あくまでこれは表の顔。真の姿は己を神と称し、自分自身を崇めるブッ飛んだ人物なのだ。
命懸けで狂気的なゲームに挑む人間が常識人ではないことは、本作の読者なら容易にわかるものの……。賭場を知らぬ一般市民からすれば、まさかギャンブラーとは思わないだろう。神父と言いつつ行いは非道だが、表と裏を完璧に使い分けるあたりが、まさに“怪異”だ。
何よりも、戦いに必要なのはテクニック。しかし、それ以上に自分への信仰がなければ精神的に折れてしまう。天堂弓彦という人間を崇める彼は独自の思考を持ち、突き抜けた自己陶酔ぶりが己を強くさせているといっても過言ではない。天堂の場合は過信が一つの武器で、真経津には破れど、多数の敵をこの手で粛清してきた。
個性派ギャンブラーの中でも異常性が高く、一発では理解し難い発言が特徴的。普段の生活ではちょっと勘弁してほしいタイプだが、本心を悟られない=戦いの場では厄介な敵であることに間違いはないだろう。
真の実力を発揮、その姿はまさに「神」だった
初登場時から圧倒的なカリスマ性を見せつけた天堂だが、他のキャラクターに比べると不透明な部分が多かったのは事実。「強い」「ちょっと変わってる人」「なんとなく会話が噛み合わない」以外にこれといった情報がなく、一度のバトルでは戦い方の癖を完璧に見抜くのが困難を極めた。
15巻では明らかに相性が合わないであろう村雨と組み、牙頭&伊月に挑む。見ていて不安になるこの2人、序盤は読者も真経津らも頭を抱えるような流れを見せるが、心配はご無用。他とは被らないユニークな戦法を取った天堂は勝利を収め、迷える子羊を救う予想外のアクションまで起こしたのである。
ただの勝ちだけでは終わらせず、そっと教えを説く優しさと、強く爪跡を残すあたりがまたニクい。銀行側からすると迷惑な結末を迎えたかもしれないが、「PPP(ピーキー・ピッグ・パレス)」は解任戦の幕開けにふさわしい、刺激いっぱいのスタートだった。
天堂の異常性は、敵を油断させる要素となる。ふわり、ふわりと独自の理論を展開する間も脳みその中身はフル回転、「相手に読まれない」のが最大の強みと言えよう。
暗躍と言わんばかりの奇想天外な展開へ仕向けられる能力は流石のものだ。神のみぞ知る戦い……とはまさに「PPP」の回を指すのかもしれない。ちょっとやそっとの努力では叶わぬ能力値とハイセンスさが、本当に神がかっている。