「スパイスとハーブがあれば料理はもっとおいしくなる」 水野仁輔が教える、自宅とBBQでの手軽な使い方

■今までの料理を劇的に変える、スパイス&ハーブの底力

スパイス&ハーブの魅力が詰まった最新刊であり超保存版の内容『もっと自由に、もっと楽しく!スパイス&ハーブの教科書』(ナツメ社/刊)

  昨今、街を歩くとインド料理やタイ料理の店を至るところで目にするようになった。これらの料理に共通するのが、スパイスとハーブを使用しているため独特の香り、色み、そして辛みがあることだ。スパイスとハーブが効いた料理は、一度口にすると病みつきになる人が続出。WEBメディアや雑誌、テレビで特集が組まれるほどのブームになっている。

  そんなブームを牽引する一人、水野仁輔氏が『もっと自由に、もっと楽しく!スパイス&ハーブの教科書』(ナツメ社/刊)を刊行した。初心者であっても、スパイスとハーブの奥深さを感じられるだけでなく、実際に料理に使うときのコツまで徹底的に解説し、さらには水野氏おすすめの世界中のレシピも紹介している保存版の内容だ。

  世界各国を旅して歩き、スパイスとハーブを活かした料理を探求し続けている水野氏に、自宅で手軽に楽しむスパイスとハーブの使い方と本書の魅力を聞いた。

スパイス&ハーブのブームを牽引し、その魅力をさまざまに紹介している水野仁輔氏

■スパイス&ハーブ、ブームが起きている背景は?

――近年、日本でもスパイスを専門としたレストランなどが多く登場していますし、メディアでもそうした料理の特集が定番になっています。

水野:はい、どんどん増えていますね。でもまだ日本人はスパイスやハーブに抵抗がある人が多くて、レストランでは食べていても、自宅の料理ではカレー以外は手を出しにくいイメージがあるようです。でもスパイスとハーブって壁みたいなのがあって、それを乗り越える経験をしてしまうと、不思議と急激に身近になるんです。例えばブルーチーズも最初は苦手だったけど、病みつきになる人がいますよね。クセがあると思われる食材は、そうした傾向があると思います。最近ではそんな壁を越えた人が増えていて、ブームというより、もはや定番になりつつあると実感してます。

――スパイスを使った料理といえば、カレーや麻婆豆腐が有名ですよね。ハーブといえばどんな料理がありますか。

水野:タイ料理によく使われるパクチーが有名ですよね。現在では、どんな料理にもスパイスやハーブが取り込まれるようになりました。ブームを牽引しているレストランでは、こんなものにもスパイスやハーブを使っているのかと、驚くような料理が登場しています。

――そもそも水野さんがスパイスに興味を持ったのは、カレーがきっかけだったそうですね。

水野:はい。僕が本格的にスパイスにハマって、意識して料理を作るようになったのは20代の頃です。いろんなスパイスを集めてカレーを作っていると、次第に海外を旅したくなるんです。それからインドを皮切りにあちこちを回りました。そうすると、どの国に行ってもスパイスやハーブが親しまれていて、いろんな料理がある。これが本当にどれもおいしくて、より深く探求してみようと思ったのです。

■素材の味を引きたてる! スパイス&ハーブを使った手軽でおいしいおすすめ料理

――スパイスと聞くと、カレーに用いるイメージが強すぎるせいか、他の料理にどう使えばいいのか迷う人も多いかと思います。

手軽に楽しめる代表格、キャベツの蒸し焼き。水野氏はよく作っているという

水野:初心者の方は、『もっと自由に、もっと楽しく!スパイス&ハーブの教科書』にレシピが載っている「キャベツの蒸し焼き」を一度作ってみてほしいですね。この料理をおすすめするのは、本当に僕が大好きだから(笑)。自宅でしょっちゅう作る料理なんです。本では写真映えするような見た目に作っていただいたのですが、家ではキャベツの葉っぱを手でむしってフライパンで蒸し焼きし、クミンを加えるだけ。本当に簡単でおいしいです。

――こんなに簡単でシンプルなのに、クミンが合うのですか。

水野:相性抜群ですよ。理由は、スパイスもハーブも素材の味を香りで引きたてるものだからです。クミンの刺激で、キャベツの甘みが一層引き立つ効果があります。

――この「かぼちゃの天ぷら」は甘くておいしそうですね。

やや意外だが、シナモンを加えることでかぼちゃの天ぷらの甘みが引き立つ。絶妙な組み合わせ

水野:シナモンパウダーを効果的に使っているレシピです。かぼちゃの甘みや風味をシナモンが増幅させる働きがあります。かぼちゃもシナモンパウダーも両方甘みがあるので、相乗効果が得られておいしいんですよ。

■ハーブを食材となじませれば香りが引き立つ

――「トマトのバジルサラダ」はワインと合わせたら、凄くおいしそうですね。

簡単な料理なのにまるで高級レストランのような味になるという、トマトのバジルサラダ

 

水野:いちおしのレシピです。トマトのエキス、それにバジルの香りとチーズをなじませることにこだわっています。しっかりと混ぜることでそれぞれの素材の旨みがミックスされて、まるで高級イタリアンレストランのような絶品なんです。

――バジルの葉をつぶしているのがポイントなのでしょうか。

水野:バジルは一般的には、トッピング感覚で最後に料理の上に散らすことが多いですよね。実は、それではもったいないんです。バジルはつぶしたり、たたいたり、ちぎったり、揉んだりすることで香りが立ちますから。その香りがメインの食材となじむと、一気に味わいが増しますよ。

――パクチーもなじみ深いハーブですが、おすすめのレシピはありますか。

水野:これも本書にある「トマト卵炒め」です。パクチーは香りが強いので、加熱しても風味が残り、いいアクセントになります。卵炒めって、まろやかな料理ですよね。そこにパクチーが入ると、よりまろやかさが増幅されるのです。ハーブがメインの素材の味を引き立たせてくれるおすすめのレシピです。

加熱することによって良いアクセントになるというパクチーを使ったトマト卵炒め

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