中川翔子のエッセイ「道徳」教科書に掲載 ヒカキン、藤井聡太、大谷翔平も登場……エンタメ化する背景は?

■教科書、表紙がかわいくなっている?

 また、教科書の表紙は、イラストレーターにとって重要な活躍の場になっているようである。中川の文章が掲載される教育出版の令和7年度版「中学道徳 とびだそう未来へ」で、表紙イラストを手掛けるのはイラストレーターのみずすである。

  Gakkenの令和6年度版「新版 みんなのどうとく」はいつかが、光村図書の令和7年度版「中学道徳」の表紙は尾崎智美が担当している。いずれも人気イラストレーターであり、優しいタッチの絵柄が魅力だ。筆者が小学生の頃には考えられなかった、親しみやすい教科書に仕上がっている。

  教育芸術社の令和6年度版『小学生の音楽』の表紙は、京都アニメーションによってアニメ化もされた漫画『日常』などで知られる漫画家・あらゐけいいちが担当している。あらゐは表紙のみならず、本文に登場するキャラクターのイラストを担当。『日常』のキャラ、東雲なのを思わせるキャラも登場するなど、ファンにはたまらない教科書となった。

  教科書に漫画を載せることに情熱を燃やした漫画家といえば、『釣りキチ三平』で知られる漫画界の巨匠・矢口高雄である。道徳の教科書にエッセイ集『ボクの学校は山と川』『ボクの先生は山と川』に収録された文章がイラストと漫画も合わせて採用されたとき、矢口は大いに喜び、「『害虫』と批判された漫画が教科書に載る。『やったぜ』と思ったね」と語っている。

  教科書にかわいらしいイラストや漫画が載るのは、今や普通のことになり、各社そのクオリティを競っているようである。そして、教科書という少々特殊な出版物は、多くの子どもたちの目に触れるだけに、タレント、漫画家、イラストレーター…… あらゆるクリエイターにとって特別な存在なのかもしれない。

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