人気漫画家のサイン色紙に贋作続々……【推しの子】横槍メンゴ氏もオークション落札品に偽物認定
近年、オークションで価格が高騰している人気漫画家のサイン色紙。それだけに贋作の問題も拡大しており、世界中にファンを抱える鳥山明さんの急逝が発表された際には、オークション・フリマ系のサイト&アプリで多くの出品があり、中には素人でも贋作と判断できるものも少なくなかった(参考:鳥山明 訃報報道後、オークションサイトでサイン色紙の贋作が続々出現?)。
そんななか、アニメ化で大ブレイクを果たし、実写映像化も発表されている『【推しの子】』で作画を担当する人気漫画家・横槍メンゴ氏が自身のXにて、ネットオークションに出品されたサイン色紙について「偽物です!」と反応した。すでに20万円で落札されたサイン色紙について、ファンが贋作の可能性を指摘したポストを引用したもので、絵は第一話の印象的なシーンを模写したものと思われ、宛名も日付もなかったりと、単純な画力以外にも不審な点が多い。他にも複数の出品があり、ファンに警鐘を鳴らす形となった。
ツリーのやつも含めて全部偽物です!😭ひどいなあ… https://t.co/YFLgXYi7DJ
— 横槍メンゴ🐰🎀 (@Yorimen) March 27, 2024
横槍氏はさらに、「全部酷いけどなによりうさぎの顔がひどすぎる おこだよ〜」とポスト。この「うさぎ」は作中にファッションアイテム等として度々登場するキャラクターで、今回の偽色紙でもアイの髪飾りとして描かれている。顔のパーツが適度に離れている「遠心顔」で、シンプルな愛らしさがありながら、表情の再現がむずかしいデザインだ。リスペクトにあふれたファンアートでも違和感が生じているケースが少なくないなかで、贋作を見分けるポイントになり得るかもしれない。
もっとも、今回のように作者本人がサイン色紙の真贋を確定してくれるケースは稀であり、本人に確認の義務はまったくない。場合によっては贋作の可能性がある色紙の出品や購入を知らせる行為自体が大きな負担になることもあり得るため、本人に直接問い合わせることは避けたいところだ。横槍氏が引用したポストも「本人に通報」したものではなく、反応を受けて「メンゴ先生に悲しい話題を見せてしまって少し申し訳ない」と気遣っていた。
偽造色紙の販売は違法であり、実際に出品者が詐欺罪で有罪判決を受けた例もある。違法性のある商品の出品に対し、オークションサイトなどプラットフォーム側にも何らかの対策は求められるが、事前にすべて精査して真贋を確定するというのも現実的ではないだろう。基本的には購入する側が慎重に判断する必要があり、可能な限り出元が確かなものを購入するか、正規のルート、公式の販売やイベント参加等で手に入れることを考えた方がよさそうだ。
実際にオークションサイトを見てみると、有名作家の原画やサイン色紙には国内外から入札が相次ぎ、数百万円という単位で落札されるものも珍しくない。漫画のアートとしての価値が高まり、その仕事に注目が集まるのは好ましいことだが、その熱狂に乗じて増加している贋作にはいっそう注意したいところだ。