藤子・F・不二雄の「SF短編」実写ドラマに先駆けて知っておきたい、“少し不思議な”宇宙人像
マイホームへの欲望を利用して宇宙人が人間をテストする 「マイシェルター」
「マイシェルター」は、宇宙人によって人間があるテストをされる、というストーリーだ。マイホーム建設の夢を持つある男は、飲み屋で出会った眼鏡の男性から核被害の恐れを力説される。シェルター購入の勧誘を受けた男は、当初は勧誘を跳ね除けるが、その日から核戦争に関する夢を見るようになって、徐々にシェルターの購入を検討し始め、次第に水·食料の備蓄に頭を悩ませたり、避難訓練を家族に強いたりするように。
物語終盤で、男は夢の中で究極の選択を迫られ、最終的にはシェルターを購入しない選択をするのだが物語の最後、彼が見た夢と行った選択が宇宙人によるテストだったことが明らかになる。地球が最終局面に陥った際、他人を蹴落として生き残ろうとする者か、そうではないか。そんな、一歩間違えば利己的になる人間たちを篩いにかけるテストだったのだ。人間の特性や弱さを知り尽くし、知らぬ間にテストを仕掛ける宇宙人たち。
その他にも、宇宙人が人間に「天地創造システム」という小さな円盤を使って、地球を育てさせる「創世日記」、自分そっくりの宇宙人が戦いを挑んでくる「ひとりぼっちの宇宙戦争」など、藤子・F・不二雄作品内の宇宙人たちは、人間を知り尽くし時に対峙することで様々な教訓を残していく。決して単純なホラー作品ではないこうした「少し(S)不思議(F)な物語」が、TVドラマとしてどんな風に実写映像化されるのか、期待したい。