藤子不二雄(A)『まんが道』でも登場  トキワ荘の漫画家たちが味わった「松葉」の絶品ラーメン

昭和の雰囲気が漂う松葉の外観。東京の町中華らしい店構え


 東京都豊島区にある「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」で、11月12日より「藤子不二雄(A)のまんが道展」が開催されている。

 『まんが道』は藤子不二雄(A)と藤子・F・不二雄がモデルの満賀道雄と才野茂の2人を主人公に、漫画に情熱を傾ける若者の成長物語が描かれる名作漫画である。事実上の藤子(A)の自伝的な作品であり、一部フィクションを交えつつも、戦後間もない頃から高度成長期における漫画界の貴重な記録にもなっている。

 かつてトキワ荘が立ち、『まんが道』の舞台になった南長崎の地域だが、昭和のままに残る店は少なくなってしまった。そんな中、数少ない当時の面影を残すのが中華料理店の「松葉」である。ごくごく普通の町中華に見えるが、実は漫画好きなら一度は訪れたい、知る人ぞ知る“聖地”なのだ。

 いったいなぜなのか、それは店の前に立つとわかる。『まんが道』のコピーが貼られている! しかも、満賀道雄がラーメンを食べている!?

 そう、松葉はトキワ荘の漫画家たちが愛したラーメンを、今も変わらず作り続けている名店なのだ。『まんが道』での初出は、満賀と才野の引っ越し蕎麦として、トキワ荘の頼れる兄貴分である寺田ヒロオが出前をとってくれた場面である。以後たびたび、トキワ荘のメンバーがラーメンを味わう描写がある。

 ラーメンは昔ながらの懐かしい中華そば。やさしい醬油ベースのスープを食べるとホッとする。壁には藤子不二雄(A)を筆頭に、店を訪れた漫画家たちのサイン色紙が飾られ、ちょっとした美術館のような趣がある。「藤子不二雄(A)のまんが道展」を訪れた際は合わせて訪問し、満賀の気分になって「ンマ~イ!」と叫んでみよう。

 11月3日には、松葉の近くに「トキワ荘通り昭和レトロ館(豊島区立昭和歴史文化記念館)」もオープン。漫画家たちがトキワ荘に集っていた、昭和30年代の面影を生かした町並みが再現されつつある。昭和レトロがブームになりつつある昨今、タイムスリップした気分で町歩きを楽しんでほしい。

▼DATA
松葉
住所:東京都豊島区南長崎3-4-11
営業:11時~15時、17時~20時(売り切れ次第終了)
休:月曜(祝日の場合は営業、翌平日休)

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