追悼・鳥山明『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』……少年漫画の力で社会現象を巻き起こした数々の功績
『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』など漫画史に残る傑作を生みだした漫画家・鳥山明が、急性硬膜下血腫のため3月1日に急逝していたことがわかった。68歳。
鳥山は、日本を、いや、世界を代表する漫画家だった。「週刊少年ジャンプ」に投稿した原稿が編集者の鳥嶋和彦に見いだされ、修業を重ね、1978年、「ジャンプ」に掲載された読切『ワンダーアイランド』でデビュー。
1980年5・6合併号から連載が始まった『Dr.スランプ』は空前のブームとなり、眼鏡をかけた女の子が“アラレちゃん”とあだ名がつけられるほど、人気を博した。また、単行本第5巻は当時史上最多となる130万部の初版発行部数を記録。アニメも最高視聴率が36.9%となる大ヒットとなった。
続く連載となった『ドラゴンボール』は『Dr.スランプ』を超える歴史的なヒットとなり、鳥山の評価を確立した傑作である。その人気に比例する形で「ジャンプ」の発行部数は他誌を突き放すほどに増加していき、1994年12月末発売の1995年3・4合併号では前人未到の653万部という発行記録を打ち立てた。
当時の子どもたちは「ジャンプ」の発売日を心待ちにし、『ドラゴンボール』のアニメの放送日はテレビの前に待機したものであった。カードゲームやテレビゲームなど、発売される商品は軒並み大ヒット、社会現象となった。これほど子どもたちを熱狂させ、漫画のパワーを感じさせる作品は、今後生まれることはないと思われる。
また、キャラクターデザインで関わった『ドラゴンクエスト』シリーズも日本を代表するテレビゲームになり、RPGを日本に定着させた立役者の一人となった。また、主人公のみならず敵キャラも一体一体デザインし、特に「スライム」はゲームキャラクターの代名詞となった傑作デザインといえる。
鳥山は『ドラゴンボール』の連載終了後も、「ジャンプ」に短編作品を次々に発表。作品の人気は連載終了後も不変であり、『ドラゴンボール』の新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』も年内に公開予定と発表されており、3月4日には『SAND LAND』プロジェクトに寄せたコメントが発表されるなど注目が集まっていた。
『ONE PIECE』の尾田栄一郎など、鳥山明に憧れて漫画を描き始めた漫画家も多く、その後の漫画界に与えた影響も計り知れない。「ドラゴンボールは青春でした」「子どもの頃に楽しみに読んでいました」など、SNS上では鳥山の死を惜しむコメントが多数投稿されている。
【写真】鳥山明が描き下ろした悟空、クリリンや、ミスターサタン、チチなど新作主要キャラ