実写ドラマ続編決定の『沈黙の艦隊』 もう一人の主人公・深町洋、漫画版とのキャラクター性の違いを考察

実写版『沈黙の艦隊』深町洋、漫画版との違い

※本記事は『沈黙の艦隊』のネタバレを含みます。

 2023年に公開された映画版が話題を呼び、2月9日より、完全版&続編が連続ドラマとしてAmazonプライムビデオで配信中で、続編の制作も決定した『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ)。映画、ドラマから原作へと辿り着くファンも増えているが、映像版と漫画版にはいくつか設定の違いが見られる。キャラクターの描き方も変更されているため、今回は第二の主人公・深町洋について解説していこう。

深町の豪快さが消え、真面目な印象となった実写版

 潜水艦「たつなみ」の艦長の深町洋。目標のために突っ走り、力強く船員を引っ張る姿は実に男らしい。少々言動に荒っぽさは目立つものの人間味に溢れており、彼を慕う部下が多いことにも思わず納得。主人公の海江田とは気質が正反対のため、原作ではそれぞれのキャラクター性を際立てて描かれているのも魅力的なポイントだ。

 一方、実写版では大雑把さがなくなり、地に足のついた冷静な人物へと変化。漫画版のファンからすると少し驚いた変更点だろう。深町特有の時代錯誤な発言や、「オレについてこい!」といった熱血漢ぶりがやや薄れているのだ。これは“制作する上で時代に合わせた”という変化と推測する。

 『沈黙の艦隊』の連載当時は海上自衛隊=男性社会だったこともあり、現代では相応しくない表現も多かった。特に漫画版の深町の言動は荒々しいことが多く、そのまま映像にすると現代人がスッと受け入れられない可能性が高い。

 今は女性も自衛隊で活躍する時代。リアルを追求し、視聴者が違和感を覚えないためにも深町のキャラ変は必要不可欠だったのだろう。主張が強すぎない実写版の深町だが、決して個性が失われたのではない。海江田の異様さをより引き立たせる役割も担い、艦長としての落ち着きをしっかり感じさせる人間になっている。

ライバルだった深町と海江田に上下関係が?

 学生時代からのライバルだった深町と海江田だが、実写版ではその関係に大きな変化が。なんと過去に海江田が艦長、深町が副長として乗船するシーンがあり、ライバルから上司・部下と関係が大幅に改変されている。

 お互いに能力が高く、常に張り合っている2人から上下関係へ……。海江田の“ラスボス感”がより一層強くなり、深町が強敵へと立ち向かう分かりやすい図が出来上がるため、なんとも面白い変更点と言えよう。

 ただ原作ファンにはこの変更は賛否両論だそう。2人が同等の立場で争う部分が好きだった人からすると物足りなく、「お互いがライバルだからこそ面白かったのでは?」「上下関係になると違和感」なんて声も聞こえる。

 そもそも、深町だけではなく海江田のキャラクター性にも変更点が見られるため、原作との違いは作品を盛り上げるためのエッセンスと思って捉えた方がいいかもしれない。

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