『ろくでなしBLUES』森田まさのり、アシスタントへの“誠意ある対応”続く 断ち切りになった背景を公開中
漫画家の森田まさのり氏が自身のXで展開している、「アシくんすまん。」と題したシリーズが話題を呼んでいる。
以前からSNSで積極的な発信を続けている森田氏は、『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』『べしゃり暮らし』など自身のヒット作について、主に作画やセリフのミスを中心にセルフツッコミを行う「なかったことにしたい」シリーズを展開。ファンを笑わせつつ、「漫画家はそこまで考えているのか」と唸らせてきた。
そんななか、ページ内に余白を作らない、いわゆる「断(裁)ち切り/断(裁)ち落とし」になったコマで、「アシくん=アシスタント」が丁寧に書き込んだにもかかわらず大幅にカットされてしまった背景について言及。2月12日投稿された「なかったことにしたい。その45」で、『ROOKIES』の1コマについて「スタンドの何気ないカットを描いたつもりが、構図を間違って、妙にひとりの名もなき女生徒が目立つ格好に」なってしまったというエピソードを明かし、「アシスタントくんがせっかく頑張って原稿用紙の端っこまで描いてくれたのに、印刷で断ち切られて陽の目を見ることのなかった素晴らしい背景をいつか見てもらいたい」と語っていた。
なかったことにしたい。その45
ニコガクのピンチに沸くスタンドの何気ないカットを描いたつもりが、構図を間違って、妙にひとりの名もなき女生徒が目立つ格好に。お前誰やねん!?
掲載されたら周りが断ち切られて、ますますホンマに誰やねん!? pic.twitter.com/omzz5HNtDS— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 12, 2024
併せて「需要があればここでも公開します」とコメントしたところ、ファンからは「需要しかない」という趣旨のコメントが集まり、「アシくんすまん。」シリーズとして次々と、原画と掲載ページの内容を比較するポストが行われているのだ。2月18日に「その1」がポストされ、25日には「その8」まで至っている。
詳しくは実際のポストを確認していただきたいところだが、『ろくでなしBLUES』で描かれた後楽園ホールや、『ROOKIES』の野球場、『べしゃり暮らし』のシアターモリエールやルミネ theよしもとなど、大きな会場・シチュエーションについて、原画では資料と照らし合わせたリアリティのある背景、観客の姿などがしっかり描き込まれており、製本の際に大きくカットされているケースがあることがよくわかる。
アシくんすまん。その1
後楽園ホールは結構タチキリの犠牲多い。 pic.twitter.com/T8xpdMvn3k
— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 17, 2024
アシくんすまん。その2
力の入った甘酢炒めみたいな皿の絵がほとんど入ってない… pic.twitter.com/fdLJfK7yq3
— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 19, 2024
アシくんすまん。その3
球場でのスタンドの応援シーンなんかはホントにひどい。
よう見たらこれ安仁屋の顔もスパーッ行ってるな。 pic.twitter.com/Vyry01dLn2— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 20, 2024
アシくんすまん。その4
これも。観客の顔までちゃんと描いてんのになぁ…。 pic.twitter.com/J4aeEciXBZ
— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 20, 2024
アシくんすまん。その5
大阪編もやってもうてたな〜。
でもタチキリの絵がどのへんまで入るかは、作家は実は大体わかってて、矢印のワク線がある限り、担当編集さんはそこに全体の大きさを合わせるしかないのです。
切れるの分かってて描いてもらってます。鬼か!
なので、アシくんすまんという…。 pic.twitter.com/25JKl52aUY— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 21, 2024
アシくんすまん。その6
シアターモリエールは印象深い劇場。
ここも無駄な仕事させてるなぁ…。
ちなみにこのページの観客は全てアシくんによるものです。 pic.twitter.com/t3ewSOET5G— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 23, 2024
アシくんすまん。その7
お世話になったルミネtheよしもと。
この通路の横の座席まで入ってたら、原画の持つ臨場感もっと伝わったろうなぁ… pic.twitter.com/j89m2huXmL— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 24, 2024
アシくんすまん。その8
小堺さんのあの番組を取材させてもらった時の資料を参考に、セットをアレンジして描いてもらいました。
ここも観客はアシくんの手によるものですが、僕が描いたカメラマンはほぼ切れてるな…。 pic.twitter.com/hvSFLNuPod— 森田まさのり (@HITMANmorita) February 25, 2024
これは作業工程上、ある程度は仕方のないことで、アシスタント氏も納得しているところだろう。しかし森田氏は「観客の顔までちゃんと描いてんのになぁ…。」「無駄な仕事させてるなぁ…。」と、さかのぼって申し訳なさを語っている。
原画からカットされている部分があるということは、裏を返せば誌面に掲載されたシーンの外に、さらに世界が広がっているということに他ならない。その豊かさを感じる意味でも、ぜひ森田氏が公開している原画をチェックしていただきたい。