書店閉店→アニメ専門店へ業態移行 渋谷TSUTAYAは4月に「最大級の体感施設」、京都駅でもラッシュ続く
■渋谷のTSUTAYA旗艦店がアニメファンを意識
都心から地方まで、書店の閉店のニュースが相次いでいる。その一方で活況を呈しているのが、アニメ専門店である。地方でも郊外のショッピングモールにアニメショップがオープンする例が増え、既存の大型書店がアニメや漫画関連のフロアを大幅に増やして、リニューアルする例も見られるなど、絶好調なのだ。
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昨年から休業している東京・渋谷の「TSUTAYA」旗艦店は、音楽のほか、アニメなどが楽しめる体験機会を重視した造りにリニューアルされる。スクランブル交差点に面した象徴的な店舗は、地下2階~地上1階にアニメや音楽の期間限定ショップやイベントを展開できるスペースを設けるという。
「TSUTAYA」旗艦店は4月にリニューアルオープンとなるが、まさかファッションの聖地である渋谷でアニメを大きく扱うようになるとは驚きである。20年ほど前まではシブヤ系、アキバ系のような言葉で両者は明確に区別されていたはずなのだが、時代の変化を感じずにはいられない。
■京都がアニメショップの聖地になる?
また、3月1日、京都駅八条口近くの商業施設「京都アバンティ」には「アニメイトアバンティ京都」がリニューアルオープンする。2011年のオープン以来、13年目を迎える同店は、売り場面積の拡大によって日本最大級のアニメ専門店になるという。
京都ではアニメに関連するショップのオープンが続いている。2023年だけで、京都駅には京都アニメーションのグッズ専門店「京都駅 ASTY京都 京アニグッズストア」が、京都髙島屋には「まんだらけ京都店」がオープンしている。いずれも国内のファンはもちろんだが、インバウンドの集客も見込んでいると思われる。
特に、京都はインバウンド需要が大幅に回復しており、記者が訪問した際も、「京アニグッズストア」も「まんだらけ京都店」も外国人の姿が目立っていた。京都は年内にも、日本屈指のアニメショップが集まる、アニメファンの聖地になりそうな勢いである。
■アニメショップが絶好調な理由
アニメ専門店の勢いは増している。アニメショップの最大手「アニメイト」の業績は好調のようで、2023年には池袋に基幹店「アニメイト池袋本店」をリニューアルオープンさせた。国内外のアニメファンで連日凄まじいまでのにぎわいをみせ、もはや池袋の観光スポットになっている印象だ。
コロナ禍で人々が動画配信サイトでアニメを見る機会が増えたことや、近年の推し活ブームなどによって、大人もアニメ好きを堂々と公言しやすくなったといわれる。町を歩いていても、いわゆる痛バッグを持ったり、アニメキャラのストラップを身に着けた人の姿は、普通に見かけるようになった。
アニメファンのカジュアル化、そしてグローバル化によって、今後もアニメショップのオープンは続きそうである。そして、アニメや漫画の書籍を扱う既存の大型書店は、より専門性に特化したアニメショップとどうすみ分けていくか、経営手腕が試されるといえよう。