『ガンダムZZ』エルピー・プルは“タイムカプセル”だった ニュータイプの描写に感じる時代の空気

『ガンダムZZ』第18話レビュー

 80年代のフィクションは、精神世界に関する描写や感情をトリガーにして発生する超自然現象、念動力やサイコキネシス的な目に見えない力などをかなりカジュアルに扱っていた。アニメ版『北斗の拳』の登場人物の周囲に見える「闘気」のようなものや、『サルでも描けるまんが教室』でも揶揄されていたいわゆる「イヤボーン」的描写、『AKIRA』での念動力描写など、そういった作品は数多い。これらの作品が大量に作られていたことから、『ZZ』で唐突に精神世界や特定の登場人物にだけ見えるビジョンが描写されても、視聴者の違和感が薄かったのではないだろうか。

 オウム真理教が起こした一連の事件以降は、精神世界・念動力的なものを80年代的な無邪気さで描写することは一時的に難しくなった(とはいえ、そういった作品がないわけではないが)。『ZZ』は唐突な精神世界描写が許された時期の作品であり、時代の空気が濃厚に残されているところがある。今回のエピソードは、そういった意味でもタイムカプセル的な味わいのある回かもしれない。

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