『幽☆遊☆白書』蔵馬と桑原、実は仲が良い? “秘密の特訓”やカップルに間違われたエピソードから考察

『幽☆遊☆白書』「霊界死闘編」の面白さ 

蔵馬が桑原の“カノジョ”扱いされるエピソードも

  最終巻となる19巻には、とても印象的なシーンがあった。「魔界統一トーナメント編」の第170話「宴のあと」にて、高校生となった桑原が、蔵馬と共に図書館で勉強する姿が描かれていたのだ。桑原の軽口に対して、蔵馬が素朴な笑い声を上げているコマもあり、すっかり“人間の友人”として馴染んでいる様子だった。

 そして図書館からの帰り道、2人は桑原のクラスメイトたちと遭遇。中性的な見た目の蔵馬は女性と勘違いされ、二度にわたって桑原の「彼女」ではないかと疑われていた。他人から見ても、2人は相当仲がいいように見えたのだろう。

  さらにアニメ版の「魔界統一トーナメント編」では、意外なオリジナルエピソードが追加されている。蔵馬の人間界での母・南野志保利が再婚したときの結婚式に、桑原が友人として参列している姿が描かれていた。蔵馬は「身内だけ」で式を行ったと語っており、小規模な結婚式だったようだが、そこに参列していた桑原はもはや“親友”といっても過言ではないかもしれない。

  直情的で自分の本音を裏表なく言葉にする桑原と、感情を抑えがちで八方美人な蔵馬。一見正反対な両者だが、だからこそ衝突することがなく、打ち解けられたのではないだろうか。人間の善性を見抜くことに長けた蔵馬にとって、桑原は全幅の信頼を寄せられる相手だった……という側面もありそうだ。

  なにより蔵馬は人間に惹かれ、人間として生きていくことを選んだ元魔族だ。魔族の血を引いている幽助ではなく、純粋な人間の桑原が親友になったと考えると、その関係性には感慨深いものがある。

  迫力のあるバトルシーンだけでなく、細やかなキャラクターの描写もまた『幽☆遊☆白書』の大きな魅力。もし実写ドラマの続編が今後制作されるのであれば、蔵馬と桑原の関係に光が当たることを期待したい。

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